ドイツが見いだしたヘイトとの戦い方
ニューズウィーク日本版 / 2017年9月9日 13時0分
その一方、ドイツでは何万人もの極右と極左の活動家が毎年、何千件もの政治的動機に基づく犯罪を行っている(ほとんどは暴力的なものではないが)。一昨年には、極右過激派の数が久々に増加し、そうした人々による暴力犯罪の数も急増した。ただし、昨年はいずれの数字も増加に歯止めがかかった。
アメリカでは、弱い立場のマイノリティーや宗教団体の発言を封じるためにヘイトスピーチ規制が悪用されかねないという議論もよく聞かれる。ゲーテ大学(フランクフルト)のマシアス・ヤーン教授(刑事法)によれば、そうした懸念はドイツでも聞かれるが、「マイノリティーへの憎悪を容認する環境を放置すれば悪い結果を招くという確信」のほうが強い。
【参考記事】トランプのアメリカで反イスラム団体が急増
この問題は、自由民主主義体制の下で自由の擁護と自由の乱用防止のバランスをどのように取るかという議論に行き着く。簡単に答えは出ないのかもしれないが、法規制をどうするかという点とは別に、ドイツ人は差別主義者への対処の仕方をよく心得ている。
シュパンダウのデモに対しては、ドイツ全土から反ネオナチの市民が抗議に駆け付けた。行進ルートのあちこちに、政党、労働組合、左派団体、教会、その他の地域団体のメンバーが陣取ってにらみを利かせた。
ネオナチの行進が始まると、通り掛かりの人たちも加わって、耳をつんざくばかりの大合唱が始まった――「ナチは出て行け! ナチは出て行け!」
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル! ご登録(無料)はこちらから=>>
[2017.9.12号掲載]
べサニー・アレン・イブラヒミアン(フォーリン・ポリシー誌記者)
この記事に関連するニュース
-
トランプ氏、極右事件矮小化 ガザ学生デモと比べ「ささい」
共同通信 / 2024年5月6日 8時38分
-
「世界の労働者の叫び」メーデーの意味を問い直す 歴史から振り返るメーデーが持つ意味
東洋経済オンライン / 2024年5月3日 8時0分
-
【攻撃的な選挙演説】衆院補選での行為は是か非か?対策は?元検事『国家権力はできるだけ政治・選挙に介入しないのが原則』さらに「法改正は劇薬」とする見解も
MBSニュース / 2024年4月30日 17時17分
-
アングル:欧州政界で高まるTikTokの存在、極右の成功に危機感
ロイター / 2024年4月9日 18時32分
-
アングル:独極右政党AfD、裕福で高齢の献金者が支える構造
ロイター / 2024年4月8日 14時23分
ランキング
-
1アメリカの大学で広がるガザ抗議デモ、社会への不満が根底か…大統領選の争点に
読売新聞 / 2024年5月7日 5時0分
-
2中国軍機、照明弾で豪ヘリ妨害=高度差60メートル、「危険」と抗議
時事通信 / 2024年5月7日 9時36分
-
3中国、カナダの調査は「うそ」 総選挙に介入と報告書
共同通信 / 2024年5月6日 20時33分
-
4イスラエル軍、ラファ検問所のガザ側掌握と発表 支援の重要拠点
ロイター / 2024年5月7日 17時49分
-
5プーチン大統領の就任式、日本は出席せず=林官房長官
ロイター / 2024年5月7日 16時44分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください