シリアで流行した皮膚が溶ける「奇病」のワクチン開発に光が!?
ニューズウィーク日本版 / 2017年9月14日 18時30分
<リーシュマニア症を防ぐワクチン開発に向け、アメリカの研究チームがマウスを使った実験で一定の成果をあげた>
2015年にシリアで感染が拡大した奇病、リーシュマニア症のワクチン開発に希望の光が差し込んだ。アメリカでも発生が報告され、予防法の確立に期待が寄せられていた。
熱帯・亜熱帯・南ヨーロッパなどでみられるこの病気は、寄生原虫の一種リーシュマニアが小さなサシチョウバエ類によって媒介されるもので、治療せずに放置すると数週間から数年で死亡することもある。有効な予防手段はサシチョウバエに刺されないことだけで、ワクチンは存在しない。アメリカの科学ニュースサイト「サイエンス・デイリー」は、マラリアに次ぐ致命的な感染症としている。
Leishmania Disease spread in #Syria. Vaccines urgently needed in #Aleppo & other cities under attack. See Photo. pic.twitter.com/Bt27VgaNaw— Mouhanad A. Al-Rifay (@MouhanadAlrifay) 2013年3月13日
(リーシュマニア症のシリアの子供たち)
【参考記事】「脳を食べるアメーバ」北上中?
【参考記事】謎の眠り病は放射能のせい?
この病気が注目されたのは、ISIS(自称イスラム国)が支配していたシリア国内の感染が拡大した2015年。世界保健機関(WHO)は、内戦の影響で医療サービスが破壊され、住民の免疫力が低下したと指摘していた。
英誌デイリーメールによると、ISISによって処刑された大量の遺体は、まともに処理されることなく放置されたという。最悪な衛生環境で死肉を好むサシチョウバエが大量発生したことが感染拡大の原因とみられる。
Movement of horses in rural Brazil a possible cause of #leishmania spread. https://t.co/tOIQpO1zfP— Federica Giordani (@fedegio3) 2017年8月27日
(リーシュマニアを媒介するサシチョウバエ)
【参考記事】IS敗走後に集団墓地と数100人の遺体
【参考記事】モスル奪還作戦、死体安置所からあふれ返る死体
当時のクルド人戦士は、ハサカ県タル・ハスミはじめ、複数の戦闘地域で蔓延したリーシュマニア症を目にし、「これまで4年も(シリアで)闘ってきたが、こんな致命的な病気とは知らなかった」と語っている。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
【湯葉】「肺」に水分を補う作用が高く鼻の保湿に役立つ
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月20日 9時26分
-
平均寿命世界トップクラスだが…「睡眠不足」の日本人が払う、大きすぎる代償。眠りと病気の深い関係【医学博士が監修】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月14日 14時15分
-
「アレルギー」名付けた学者の理論が黙殺された訳 専門家の間でも意見が分かれる定義とその歴史
東洋経済オンライン / 2024年9月11日 12時0分
-
深センのエムポックス患者、5割以上がHIV合併感染―香港メディア
Record China / 2024年9月3日 7時0分
-
今度のエムポックス(サル痘)は若年層の感染や性感染が増えている
ニューズウィーク日本版 / 2024年8月28日 18時57分
ランキング
-
1ヒズボラとイスラエルの全面戦争、「不可避ではない」 マクロン氏
AFPBB News / 2024年9月20日 11時57分
-
2中国の危険情報「レベル0」維持 外務省「見直しは検討していない」子供連れには注意喚起
産経ニュース / 2024年9月20日 17時46分
-
3中国、日本の水産物「輸入を徐々に再開する」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月20日 16時13分
-
4ベルリンの慰安婦を象徴する少女像、地元区長が撤去求める考え…韓国系市民団体と協議へ
読売新聞 / 2024年9月20日 19時28分
-
5戦闘機開発の英国撤退に警鐘 防衛戦略に打撃、信頼失墜と
共同通信 / 2024年9月20日 10時54分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください