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「正義」を冷笑して権力を手にしたトランプ - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2017年9月19日 18時20分

こうした混乱、つまり全体として見れば「正義の動揺」という現象は、何もアメリカだけでなく、先進国一般に見られるものだと思います。ではどうすれば、こうした「正義の動揺」と「社会の分断」は緩和できるのでしょうか?

2つあるのだと思います。1つは、正義の達成というには、不正義を叩くことではなく、不正義の中にある情報不足や誤解を解きほぐすアプローチが必要ということです。例えば多文化主義を浸透させるには、排外主義を叩くのではなく、具体的な異文化の情報を孤立主義的な人々にも浸透させていく努力が先行すべきだということです。

2つ目は、理念としての正義が、グローバリズムの勝者である富裕層の特権的・貴族的な態度に過ぎないという印象を「与えない」ということです。あらゆる理想主義は、国内の格差問題などにも目を配ることで「与える側に回れない」という「脱落者」を作らないように配慮しながら進めなくては、足元をすくわれるということです。

いずれにしても、「トランプ現象」というかたちで「正義が挑戦を受けている」のが現在のアメリカであり、そこからアメリカがどう抜け出していくのかということには、世界的な「正義に関する議論」のなかでも重要な問題のように思います。


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