「炎と怒り」発言のトランプに打つ手はない?
ニューズウィーク日本版 / 2017年9月22日 17時45分
それだけではない。ニッキー・ヘイリー米国連大使が9月4日の国連安保理緊急会合で発言したように、核保有国には、非核保有国を核兵器で攻撃しない、他国に対して核を使った恫喝は行わない、核兵器のこれ以上の拡散を防ぐ、といった責任があるが、北朝鮮が「責任ある核保有国」として国際社会で振る舞う可能性は極めて低い。
ただ、アメリカは無策のまま時が過ぎるのをよしとはしない。特に、「オバマ政権時代の8年間の無策が現在のような状態を招いた」と批判してきているトランプ政権ならなおさらだ。ヘイリーは、9月4日の安保理緊急会合で「もう十分だ(enough is enough)」と述べ、対北朝鮮石油禁輸など、より厳しい制裁を国連加盟各国に求める安保理決議の採択を呼び掛けた。当面は、この決議案の全会一致での採択を目指し、特に中ロと水面下での激しいやりとりが行われることになるだろう。
北朝鮮の核保有をなし崩しに認めてしまえば、国際社会にとってもトランプにとっても脅威が増すだけだ。
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[2017.9.19号掲載]
辰巳由紀(米スティムソン・センター日本研究部長、キャノングローバル戦略研究所主任研究員)
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