アメリカ版「七光」政治家にも、建国の理念は揺るがない
ニューズウィーク日本版 / 2017年9月27日 11時0分
しかし、親族に有名政治家がいることは、時に選挙で不利に作用する場合もある。16年の大統領選で敗れた2人の候補者はその落とし穴にはまったのかもしれない。共和党候補者指名レースで敗退したジェブ・ブッシュと、本選挙で敗れたヒラリー・クリントンは「名字」に足を引っ張られた可能性がある。
ジョージ・W・ブッシュの弟であるジェブは、名字がブッシュでなくジョンソンだったら、共和党の候補者指名を獲得できる可能性がもっと高かっただろう。既成政治の打破を看板に選挙を戦ったトランプに対し、ジェブは兄と自分をうまく切り離すことができなかった。実際には兄とはかなり違うタイプの政治家だったのだが、有権者には「第2のジョージ・W・ブッシュ」と思われてしまったのだ。
ヒラリーも同じだ。選挙の出口調査の結果を見ると、名前がヒラリー・クリントンではなくヒラリー・スミスだったら、もっと票が集まった可能性がある。トランプは、夫の大統領時代の政策や行動を理由にしばしばヒラリーを攻撃した。「チェンジ」を求めていた有権者も、「クリントン大統領」という響きに新鮮味を感じなかったようだ。
アメリカ国民は、名門政治一族の名字を持っているというだけの理由で候補者を支持することはない。時には、それが逆風になる場合すらある。
貴族制にきっぱりとノーを突き付けた独立宣言の精神は、21世紀の今日もアメリカで生きているらしい。
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル! ご登録(無料)はこちらから=>>
[2017.9.26号掲載]
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト)
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
米大統領選共和ランニングメート候補ら忠誠競う トランプ裁判は「オーディション」の様相
産経ニュース / 2024年5月15日 9時50分
-
米大統領選まで半年…勝敗のカギを握る“第3の男”ロバート・ケネディ・ジュニア氏の行方
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月9日 9時26分
-
米国大統領選のしくみ&注目ポイント!
トウシル / 2024年4月27日 11時0分
-
トランプVSバイデン、一騎打ち!米大統領選、今後の注目は?
トウシル / 2024年4月25日 11時0分
-
米共和党に「変節漢」続々、予備選圧勝のトランプ氏に露骨な接近 義理人情外れた振る舞いに冷ややかな視線【ワシントン報告⑮米大統領選】
47NEWS / 2024年4月23日 10時0分
ランキング
-
1イラン大統領、事故で死亡=不時着ヘリ発見
時事通信 / 2024年5月20日 13時39分
-
2イラン大統領死亡、中東の状況注視する=林官房長官
ロイター / 2024年5月20日 16時50分
-
3ロシア企業が開発のAI、「ひどい臆病者」と前大統領激怒…ウクライナ問題に「勉強中」とのみ回答
読売新聞 / 2024年5月20日 17時23分
-
4アングル:「働いた証ない」、労働者の権利求めるメキシコのセックスワーカー
ロイター / 2024年5月20日 8時52分
-
5台湾の頼総統、中国に軍事威嚇の停止呼びかけ 「世界平和への挑戦」
産経ニュース / 2024年5月20日 13時35分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください