中国共産党以外の政党を育てない国が野党第一党がない日本を批判する滑稽さ
ニューズウィーク日本版 / 2017年10月12日 17時0分
安倍首相が解散を宣言し、希望の党が誕生した時には「ようやく安倍軍国主義内閣が崩壊する」と中国の報道は熱気を帯びた。しかし希望の党の性格が分かると、野党が育たないことを、あの中国が批判している。
安倍内閣崩壊を喜んだ中国だったが
中国共産党の管轄下にある中央テレビ局CCTVは、実に詳細に日本に関する情報を報道する。国際チャンネルもあるので、日本の報道を見ているよりも(偏向はしているが)日本の動態を詳細に把握することができる場合さえある。
国際チャンネル(CCTV4)はもとより、新聞聯播(30分間の全国ニュース。CCTV13)も、安倍首相が衆議院解散を宣言した時には、野党の声を借りて「モリカケ隠しのための解散だ」と批判した。そして同時に「希望の党」の結成が発表されると、「これでようやく安倍軍国主義内閣を打倒することができる」と、キャスターも解説委員も興奮気味に伝えたものだ。
希望の党が民進党と連携するニュースが入ると、「寛容な保守」に対して礼賛さえ送るという不思議な現象が起きた。
中国共産党一党支配の国が、「民主主義国家における民主的選挙」を報道することを恥ずかしく思わないのかと、しっかり観察させてもらうことにした。
希望の党が「排除」を行ない始めると
希望の党が「寛容な保守」という幅広い概念に基づいて民進党を吸収するのではなく、あくまでも「憲法改正」や「安全保障政策」という基本政策で民進党候補者を選別し、いわゆる「排除の論理」により踏み絵をさせ始めると、事態は一変した。希望の党に関する報道はほぼ消えてしまい、「排除の論理」に抗議した「立憲民主党」に焦点が移っていった。希望の党は自民党内の党内抗争に過ぎないと解説するものさえ現れる始末。
小池氏としては、野合と言われないために、あくまでも政策別により政権を再編しようとしたものだと思うが、日本の国民感情が立憲民主党誕生過程などに同情的だという解説さえ、中国の報道で見られるようになったのである。
中国共産党に100%賛同し礼賛する者でなければ「人間とみなさない」ほどの選別をしている中国が、日本の国民感情や「排除の論理」を論じる違和感が、なんとも滑稽だ。
中国にも八大民主党派があるにはあるが......
中国には実は中国共産党以外にも、八大民主党派と呼ばれる「政党」が存在する。しかし民主党派は中華人民共和国憲法で、「中国共産党の指導の下で、中国共産党に協力する」と厳しく規定されている。
-
-
- 1
- 2
-
この記事に関連するニュース
-
パリ五輪は無事に開催されるのか…「都知事選以上の大番狂わせ」が起きたフランス総選挙のカオスぶり
プレジデントオンライン / 2024年7月15日 10時15分
-
蓮舫氏の惨敗で立民代表選に異変 「泉氏なら沈没」小沢一郎氏が〝見慣れた顔〟刷新に奔走 「野党共闘路線」は変わらずか
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月10日 15時30分
-
日本車メーカーの「ドル箱市場」を中国EVが侵食…「世界一の自動車大国」の座を奪われた日本がやるべきこと
プレジデントオンライン / 2024年7月4日 7時15分
-
「予想外の結果」になる可能性が高まった…都知事選「最新の情勢調査」で見えてきた"勝敗を分ける要素"
プレジデントオンライン / 2024年6月24日 16時15分
-
岸田政権を正面から批判できず、都知事選もスルー…維新が迷走を深める「大阪万博」以上に厄介な問題
プレジデントオンライン / 2024年6月20日 7時15分
ランキング
-
1盟友ペロシ氏、バイデン氏に選挙戦継続への懸念伝達…党内では撤退論封じ込め狙い「早期指名」計画も
読売新聞 / 2024年7月19日 2時17分
-
2「13日に注目」投稿か 銃撃のクルックス容疑者
共同通信 / 2024年7月18日 22時43分
-
3中国経済にトランプショック再び!? 「中国車の輸入阻止」綱領採択、バンス氏との強硬シナリオ 「60%の関税、本気で仕掛ける可能性」
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月19日 6時30分
-
4バイデン氏、大統領選撤退「真剣に検討」 時間の問題か=関係筋
ロイター / 2024年7月19日 8時28分
-
5韓国軍、再び拡声器放送=北朝鮮の汚物風船に対抗
時事通信 / 2024年7月19日 10時40分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)