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習近平思想を党規約に――新チャイナ・セブン予測(5)

ニューズウィーク日本版 / 2017年10月17日 16時30分



これを中国共産党の歴史では「マルクス・レーニン主義の中国化」という美しい言葉で記録しているが、実は習近平が最近、盛んに「マルクス・レーニン主義の中国化」という言葉を使っていることに驚いた。筆者がまだ10歳そこそこだったころに受けた「毛沢東思想」教育そのままだからである。

「毛沢東思想」が党規約に明記されたのは1945年4月23日から6月11日まで延安で開催された第7回党大会の時だ。そこには「群衆路線」とともに、「四項目の服従」があり、その中の一つに「民主集中制」(集団指導体制=少数は多数に決定に従う)などがある。

毛沢東が中華人民共和国を建国し、鄧小平が改革開放を提唱したと位置づければ、習近平は毛沢東と鄧小平を越えて、社会主義国家・中国を中華民族の偉大なる復興へとつなげ、1921年の結党以来の100年の夢を実現させた大人物として位置づけようという構想が浮き出てくる。少なくとも100年間は維持したという実績は欲しいのだろう。

習近平思想の骨格は「四つの全面」と「五位一体」

習近平思想の骨格は、「四つの全面」と「五位一体」である。

まず「四つの全面」とは、

1.小康(ややゆとりのある)社会の全面的建設を、初めて「中華民族の偉大な復興という中国の夢を実現する要の一歩」と位置付けた。

2.「改革の全面的深化」の総目標を、初めて「中国の特色ある社会主義制度を整備・発展させ、国家の統治体系と統治能力の近代化を推進する」ことと確定した。

3.「全面的な法による国家統治」を、初めて「全面的な改革深化」の「姉妹編」とし、「鳥の両翼、車の両輪」として位置付けた。

4.「全面的な厳しい党内統治」の道が初めて示され、「厳しい党内統治の系統性・予見性・創造性・実効性の増強」が求められた。

の四つであるとされている。「初めて」という言葉が肝心だというのが中国共産党機関紙「人民日報」の見解だ。実は、「小康社会」も「改革の全面的深化」も目新しいものではないが、それを初めて「中華民族の偉大なる復興」や「中国の夢」などに結びつけたことが重要なのだと説いている。

二番目の「五位一体」とは「経済建設、政治建設、文化建設、社会建設、生態文明建設」の五つの総体的な配置によって中国の特色ある社会主義理論を思想的に武装統一して行こうという考え方である。

いかにも空々しく空理空論のように聞こえるが、実はこれが案外に侮れない。



何が変わるのか

七中全会やこれまでの公報をよくよく読むと、三つの「もし~がなければ」と四つの「きっと~だろう」という構成になっていることが分かる。

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