ケリー首席補佐官が初会見で語った、北朝鮮とトランプ
ニューズウィーク日本版 / 2017年10月20日 18時0分
そしてこう語っている。「今、脅威に対しては、対処が可能だ。だが時間が経てば、今よりも状況が進展したら――まあ、外交がうまく機能することを望もう」
記者会見を通して、また北朝鮮について触れた部分を見ても、少なくともあと数カ月で戦争に突入するような緊張感はない。米メディアもその緊張感をケリーの発言や言葉尻りから感じ取ってはいない。
さらに、ケリーは国務省に期待していると言う。「いい知らせは、偉大な国務省が日夜、外交をやっていてくれていることだ」と皮肉っぽく語り、「ジム・マティス(国防長官)も私も、軍で現役の頃から何度も何度も言ってきた。国務省に十分な予算を与えないなら、もっと私たちに弾薬を買ってくれ、と。世界で国務省と、関係するアメリカ人たちが毎日、仕事をしていてくれる。そして地球上で最も偉大な米軍がいる。物事が軍事的になってしまうと考えたくはないが、それも常に選択肢にはある」
そもそも閣僚があちこちで発言しているように、トランプ政権は対北朝鮮で「外交」による対応を基本路線としている。レックス・ティラーソン国務長官も10月15日に「最初の爆弾が落とされるまで外交的に取り組む」と述べたと報じられている。
ちなみにケリーはトランプについてこう語った。
「最初の会った日から、彼は決断力のある人物だと分かった。思慮深い人物、と言うべきかな」
そしてこう続けた。「単純に、事実はトランプ大統領が十分に考え出されたいくつもの選択肢を提示されていることだと保証する。その選択肢は彼のチームと共に詳細まで議論されており、それから、大統領は正しい選択をしているのだ」
最近では、トランプが韓国との2国間FTPの再交渉を実現するために、交渉担当者に自分を「クレイジー」な人物で「すぐにでも合意を破棄するような男だ」と韓国側に印象付けてくるよう指示していたことが明らかになっている。
こうした側面を見ると、トランプの発言は額面通りに受け取るべきではないということなのかもしれない。
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山田敏弘(ジャーナリスト)
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