極右のヘイトスピーチも自由を保障されている
ニューズウィーク日本版 / 2017年10月25日 17時50分
それに対してACLUは、暴力が起こる危険性があっても、それは言論の自由を妨げる根拠にならないと反論した。アメリカの裁判所は長年、言論に対する暴力行為を回避する正しい方法は、言論を禁止することではなく警察が言論者の身の安全を保障することだ、という立場をとってきたのだ。
一方、シャーロッツビルに集結した白人至上主義者の多くは銃などで武装していた。ACLUは言論の自由に関する法的支援の要求があった場合、今後は相手をもっと慎重に見極める必要に迫られるだろう。合衆国憲法の修正第1条が保障するのはあくまで「平和的な集会」を開く権利だ。
1969年に白人至上主義団体「KKK(クー・クラックス・クラン)」の指導者とオハイオ州がヘイトスピーチの規制をめぐり争った米連邦最高裁の判決は、言論が差し迫った暴力行為を引き起こす危険性があれば言論を禁止できる、という法的基準を示した。
シャーロッツビルのようにデモ当事者が武装していれば、差し迫った暴力行為の危険性が一気に増すのは明らかだ。
ACLUは今後も、ネオナチだろうと白人至上主義だろうとその信条に関係なく、あらゆる人や団体の言論の自由を守り続けるだろう。だが、暴力で自分たちの主張を押し通そうとする者は対象外だ。
スコーキーではほぼアメリカ中がネオナチを非難していたこともシャーロッツビルとの違いだろう。シャーロッツビルでは、ドナルド・トランプ米大統領が白人至上主義の側にも「素晴らしい人々がいた」とかばうような発言をした。
スコーキーでは、ネオナチの言論の自由は守られたが、それによってネオナチの主張が受け入れられることにはならなかった(法廷争いが終わると同時に、ネオナチ団体は姿を消した)。だがシャーロッツビルはどうだろう。白人至上主義団体の一部の指導者やその支持者は、かばってくれたトランプに感謝している。
当面、彼らが姿を消すことはなさそうだ。
This article first appeared on the Washington Spectator.
(翻訳:河原里香)
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アリエフ・ネイヤー(国際財団オープン・ソサエティ財団名誉会長)
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