ケネディ暗殺機密ファイル公開は、トランプにとって「両刃の剣」 - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2017年10月31日 15時0分
というような断片的な情報が主であって、現在報道されている限りではインパクトは今ひとつという感じです。ただ、この「機密ファイル」には、JFK暗殺に直接関係のない雑多なメモが放り込まれているようで、中には「1955年の時点で、アドルフ・ヒトラーはアルゼンチンに秘密亡命していてピンピンしていた」などという、マユツバものではあるのですが、ネタとしては興味深い「発見」もあったそうです。
冒頭お話したように、この「JFK機密ファイル」の公開は1992年の法律で強制的に決定されていたために、このタイミングとなったわけですが、この「公開時点」での大統領が、ドナルド・トランプだということで、そのことについても、様々な見方がされています。
一つの見方は、元々トランプという人は「陰謀論が大好き」であり、大統領になる前は「オバマはアフリカ生まれで大統領の資格なし」だとか「9.11の同時多発テロを後ろで操っていたのはブッシュ」だというようなことを真顔で言っていたわけです。ですから、そのトランプ大統領であれば、CIAやFBIを含めた「エスタブリッシュメント」の妨害に打ち勝って、真実を暴露してくれるに違いない、そんな期待感が支持者の間にはあります。またご本人も、その点ではヤル気満々のようです。
その一方で、現在のトランプ政権は「ロシア疑惑」の渦中にあり、10月30日(月)には、ポール・マナフォート前トランプ選対委員長以下、3人の旧側近が訴追され、1人は有罪を認めて司法取引を模索、2人は罪状を否認して自宅監禁措置になっています。そのようなスキャンダルが現在進行形である以上は、「JFK機密文書」が話題になってくれて、ニュースのヘッドラインや新聞の1面を占めてくれるのは政権にとっては願ったりかなったりであり、だからこそ大統領は公開に積極的なのだという見方もあります。
ですが、この点に関しては、万が一「JFK機密文書」の中から、ソ連やキューバによる米国政界への工作という事実が明るみに出るようですと、1963年の事件と、現在進行形の「ロシア疑惑」がオーバーラップするようになり、世論のトランプ政権に対する目が厳しいものになる、そんな指摘もされています。この問題は、もしかすると政権にとっては「両刃の剣」であるかもしれないのです。
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル! ご登録(無料)はこちらから=>>
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
トランプ銃撃時、シークレットサービスはイランの襲撃に備えていた?
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月17日 18時50分
-
トランプ氏銃撃、政治的暴力が激化の恐れ―独メディア
Record China / 2024年7月17日 7時0分
-
《米大統領暗殺の系譜》トランプだけではない、歴代大統領45人のうち3人に1人が暗殺事件を経験…過去の犯人から浮かび上がる共通項とは
集英社オンライン / 2024年7月14日 20時11分
-
ケネディ大統領のおい「トランプ氏とその家族のために祈ろう」暴力からの決別訴える
日刊スポーツ / 2024年7月14日 10時52分
-
日本人が知らない「激ムズ」クイズ5選
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月8日 23時30分
ランキング
-
1盟友ペロシ氏、バイデン氏に選挙戦継続への懸念伝達…党内では撤退論封じ込め狙い「早期指名」計画も
読売新聞 / 2024年7月19日 2時17分
-
2焦点:戦争は「素人大統領」をどう変えたか、苦悩増すゼレンスキー氏
ロイター / 2024年7月18日 17時28分
-
3北朝鮮の地雷埋設、作業ミスで爆発事故多数、韓国側は脱北者の増加と雨による地雷流出を警戒
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月18日 16時37分
-
4米「軍拡リスクを高める」 中国の軍備高官協議停止を非難
産経ニュース / 2024年7月18日 16時1分
-
5トランプのコア支持層MAGAに亀裂?副大統領候補バンスのインド系妻が許せないと差別発言が炸裂
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月18日 18時51分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください