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日本はよくトランプを手なずけた 中国に勝ち目はあるか?

ニューズウィーク日本版 / 2017年11月8日 19時30分



横田基地での演説や、東京・元赤坂の迎賓館で安倍と並んだ6日の共同記者会見、同行しているホワイトハウス職員らの話を聞く限り、トランプが日本に応分の防衛負担を求めたのは過去の話だ。少なくとも、安全保障における日米同盟の根本的な必要性をトランプが理解したのは間違いない。中国も国際社会の一員にしてしまえば普通の国になる、という対中「関与政策」や北朝鮮の核開発問題を話し合う「6カ国協議」をアメリカが信じていた楽観的な時代には、日米同盟は時代錯誤にすら見えた。それが今、これ以上ないほど劇的な形で米外交の中心に返り咲いた。

トランプと安倍は、互いの支えに対して心から感謝しているように見えた。安倍との共同会見で、トランプはややオーバーにこう言った。「日米両国の首脳がこれほど密接な絆で結ばれていたことはない」「アメリカと日本は100%共にある」「最初の訪問国が日本で、本当に良かった」

トランプと安倍がそろって日米同盟の重要性を強調し、両者が親密さをアピールする姿を観察していてはっきりしたことがある。安倍と習近平は今、トランプとの親密度を競い合う関係になっている。尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権といった個別の問題を超えて、どちらがトランプの最大の関心を得られるかをめぐる争いだ。

対中失敗外交の清算

トランプの訪中後の様子を見守る必要があるが、今のところ、安倍は見事にトランプの心を掴んだように思う。筆者の経験上、日米同盟がこれほど注目を浴び、重要視され、強固になったのを見るのは初めてだ。トランプと安倍の個人的な関係の深さを象徴していたのは、昼食会後に安倍がトランプに渡した白いキャップ帽だ。帽子には2人の名前入りで「日米同盟をより偉大に」と刺繍されていた。「ゴルフ外交」なしで、安倍と同レベルまで習がトランプを満足させられるのかどうかは見ものだ。

アメリカ外交は今、中国に対する関与政策が失敗したことの清算に苦労している。

ここ数十年間、アメリカは中国への関与を強めることで中国を普通の国にしようとしてきた。世界貿易機関(WTO)への加盟を認め、欧米式の法治を教え、数十万人の留学生を行き来させ、スポーツチームやバレエ団、オーケストラなどを招待した。そうすれば、中国はアメリカに感謝し、価値観も欧米に近づき、既存の国際秩序を乱すこともなくなるだろうという考えだ。だが中国は変わらなかったし、トランプ政権が対中関与を重視するとも思えない。

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