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ヒツジは想像以上に賢い! オバマやエマ・ワトソンを識別していた

ニューズウィーク日本版 / 2017年11月8日 18時30分

<滑稽に見えるかもしれないが、人間のハンチントン病の治療に役立つことが期待される研究だ>

英ケンブリッジ大学の研究チームの実験の結果、ヒツジが人間の顔を識別できることが明らかになった。

実験では、ケンブリッジ大学の農場で飼育されている8頭のヒツジにあらかじめ4人の著名人の真正面から撮った写真に反応するよう訓練を受けさせる。その後、著名人の1人と初めて見せる人物の写真を2枚見せ、反応を観察した。著名人の写真の下のボタンを押して正解すると餌が出るが、間違えると何も出ない。

ヒツジが刷り込まれたのは、バラク・オバマ前米大統領、俳優のジェイク・ギレンホール、女優のエマ・ワトソンとフィオナ・ブルースだ。

動画の32秒あたりから始まる部分では、写真を見せられたヒツジが一瞬戸惑うような仕草を見せてからオバマの写真を選んでいることが分かる。10回のうち8回で正解した。



Cambridge University-YouTube


単に覚えていただけじゃない

ただ、ここで疑問が残る。ヒツジは4人の顔を単に「覚えていた」だけで「認識」はしていなかったのではないか。

そこで研究チームは、ヒツジに刷り込みのために使っていた4人の著名人の正面写真を横顔など様々な角度から撮られたものに差し替えて再度検証した。すると、ヒツジは正面以外の写真からでも著名人の顔を認識できた。ただ、正面の写真に比べ正解率は15%落ちるという。



主任研究者のジェニー・オルトン博士率いる研究チームによると、ヒツジが2枚の写真を前に戸惑っているような瞬間に、識別しているという。社会性の高い動物であるヒツジは、仲間や身近な人間の肉体を識別しているという研究結果は出ていたが、人間を顔で識別しているかどうかは実証されていなかった。

オルトン博士は「ヒツジたちは驚くほど識別能力が優れている」と指摘した。

また、実験で正解したヒツジに餌を与えずに続行した場合でも、4人の写真を選んだという。オルトン博士によれば、ヒツジは餌をもらえるということではなく、単に問題を解決するために行動していることが示唆されている。

ちなみに実験に臨んだヒツジたちは、肉食用の農場で生まれたが生後12カ月でケンブリッジ大学の農場に引き取られた。あわや加工して出荷される寸前のところから命拾いしたとも言える。

ハンチントン病治療に希望も

2枚の写真を見比べるヒツジの後ろ姿は滑稽に見えるかもしれないが、真剣な目的を持つ研究だと英デイリーメールは指摘する。

オルトン博士は「この能力がヒツジ独自のものとは思わない」と考え、難病の研究に応用しようとしている。

身近な人の顔の認識が難しくなる症状が出る認知症やハンチントン病の研究に役立つ可能性を秘めているという。ヒツジでテストをすることによって認知能力を測定することができる。今後は、ハンチントン病の原因となる遺伝子を持つヒツジでも実験を行う予定で、ハンチントン病に効く治療法を研究する。

オルトン博士は「ハンチントン病は本当に怖くて悲惨な病気。その克服を目指すのが私がヒツジの実験をするただひとつの理由だ」と語った。

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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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