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苦しまない安楽死マシンなら死を選びますか?

ニューズウィーク日本版 / 2017年12月13日 19時0分



サルマシーが懸念するのは、自殺が自殺を呼ぶことだ。1991年にアメリカ人ジャーナリストのデレック・ハンフリーが自殺の計画や実行方法を詳述した著書『ファイナル・エグジット(安楽死の方法)』を出版した後、自殺者が急増した。同年のニューヨークにおける窒息自殺の件数は、前年比で313%も増加した。安楽死を合法化したオランダでは、安楽死か自殺幇助による死亡者が全死亡者の5%近くを占めるとも、サルマシーは指摘する。

医師が「2重効果の原則」に従って治療を行えば、倫理的な手段で、終末期の患者に安らかな最期を迎えさせることができると、サルマシーは言う。2重効果の原則とは、もし患者がリスクに同意するなら、医師はたとえそれが患者を死なすことになっても、痛み止めを投与し続けてもいいという原則だ。

緩和ケアは万人向きでないと、ニチキは反論する。健康な人から、良い人生を全うし、もう死ぬ覚悟ができたという理由で、自殺幇助を求められたこともあったと言う。健康な人々にも死ぬ権利があって当然というのが、彼の考え方だ。

ニチキも70代になり、自分の死と向き合い始めた。彼の最後の砦は、サルコかもしれない。

「最近、自分の死について考えることが増えた」と彼は言う。「サルコはやっぱり魅力的だ。その時が来れば、サルコで死ぬつもりだ」

(翻訳:河原里香)






ニコール・グッドカインド


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