イルカの聴力さえ奪う魚のセックス大騒音
ニューズウィーク日本版 / 2017年12月21日 15時40分
<イルカの聴力さえ奪う魚のセックス大騒音 繁殖のときコルビナのオスは、銃声のような音を出す。数百万匹が集まる大合唱は、海の生物で最大の音響ショーだ>
米カリフォルニアで、150万匹の魚が交尾する雷鳴のような音が録音された。コルビナという魚が繁殖相手を呼ぶ声で、水中の生き物が出す音としては最大の部類。イルカやアシカの耳をだめにしてしまうほどだという。
「カリフォルニア湾に春がくると、コルビナの成魚はすべて湾最北部のコロラド川デルタの一カ所に集まる。数百万匹からなる産卵集団を作るためだ」と、テキサス大学オースティン校の海洋科学研究所のブラッド・エリスマン准教授とカリフォルニア大学サンディエゴ校のスクリップス海洋学研究所博士課程のティモシー・ロウウェルは、学術誌の生物学レターに書いた。
交尾するとき、コルビナのオスは銃声のような鋭い音波パルスを出す。それが数百万匹の合唱になると、釣り船からでも聞こえるような音量になる。エリスマンたちは最先端の録音装置で4日以上続いた魚たちの乱交パーティーの音を拾い続けた。
大音量が引き寄せる敵
「これまで録音された魚や海の生き物のなかで最大の音量だった。他の海洋生物の耳が聞こえなくなってしまうほどだ」と、2人は書いている。その音はあまりに大きく周辺の音量レベルが21倍にもなってしまうほどで、「まさに野生の音響ショーだ」という。
大きな騒音は、イルカやアシカの聴力を永遠に奪ってしまうほどだが、そんな危険にも関わらず、海の生物たちはコルビナの大群を食べようと集まってくる。音を聞きつけた人間の釣り船もやってくる。
餌にありつけるか、聴力を失うか REUTERS/USFW
乱獲による数の減少がなければ、コルビナの合唱はもっとうるさかったかもしれないという。乱獲は、この最もユニークな海のショーを葬りつつあると2人の科学者は書く。そのうち、聞けなくなってしまうかもしれない。
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きをウイークデーの朝にお届けします。ご登録(無料)はこちらから=>>
キャサリン・ハイネット
この記事に関連するニュース
-
他のオスと戦うか「間男」になるか...ヤリイカのオスの繁殖戦術は「誕生日」で決まる 東大グループが解明
ニューズウィーク日本版 / 2024年5月9日 19時40分
-
潜る度に違う表情を見せるベールド海…『フォーエバーブルー ルミナス』で海洋生物と触れ合って、一期一会のダイバーと泳ぐ【プレイレポ】
インサイド / 2024年5月4日 11時30分
-
自衛隊が挑んだ“大規模リアル射撃訓練”の顛末 戦闘機も出動し「海のギャング」一網打尽 地域の風物詩だった時代
乗りものニュース / 2024年4月23日 16時12分
-
「泡が宝石」「イワシがキラキラ」 夜景バックのイルカショーも 「夜のすいぞくかん」27日から 福岡市・マリンワールド
RKB毎日放送 / 2024年4月23日 11時50分
-
再雇用で働いていますが”聴力”が弱くなり困っています…生活が厳しくなりますが、仕事を辞めるしかないのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月22日 10時10分
ランキング
-
1フィリピン政府 中国大使館員を“国外追放”方針 領有権問題めぐり「悪質な妨害工作」 中国側「うしろめたさ感じている証」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月10日 20時43分
-
2イスラエル、ハマス同意の休戦案を拒否…ラファへの大規模侵攻姿勢を固持
読売新聞 / 2024年5月10日 19時33分
-
3ウクライナ北東部「突破の試み」=ロシア軍が攻撃強化、1キロ侵入
時事通信 / 2024年5月10日 23時31分
-
4韓国政府「持分売却を圧迫と認識され日本政府に遺憾」 LINEヤフー問題を受け
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月10日 17時28分
-
5ミスUSAとティーンUSAが相次いで辞退 主催団体に問題か
AFPBB News / 2024年5月10日 18時56分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください