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【写真特集】文化も俗世も性も超越する霊媒師たち

ニューズウィーク日本版 / 2017年12月23日 15時45分

<タイとミャンマーでは、ここ数十年で男性やトランスジェンダーの女性の霊媒師が急増している>

色とりどりの布が掛けられ、絵や供物や装飾品が並ぶなか、鮮やかな衣装で「彼女たち」が舞い踊る。儀式をつかさどるのは心と体の性が一致しないトランスジェンダーの霊媒師だ。

アメリカなどで多様な性に生きる人々を撮り続けてきた写真家マリエット・パシー・アレンは3年前、タイとミャンマー(ビルマ)のトランスジェンダー霊媒師にレンズを向け始めた。タイのチェンマイやミャンマーのマンダレーなどで彼らの祭礼や日常を追い、写真集『トランスセンデンツ』にまとめた。

共に仏教国であるタイとミャンマーだが、仏教以前の精霊崇拝も深く根付いている。古来、霊媒師を務めるのは女性の役目だった。だがここ数十年で、同性愛の男性やトランスジェンダー女性の霊媒師が急増。俗世と精神世界をつなぐ彼らは、尊敬される存在だ。ビジネスを始める時期、結婚式の日取り、病気の子供の治療法......。助言を得ようと、人々は列を成す。

彼らは誰とでも気軽に接する。分け隔てなく楽しげに。どうやら性生活も満喫しているらしい。テクノロジーを使いこなし、スマホでセルフィーに興じる彼ら。その存在は、伝統も革新も、西洋も東洋も、男性と女性さえも超越している。

Photographs from "Transcendents: Spirit Mediums in Burma and Thailand" by Mariette Pathy Allen, published by Daylight Books


【MYANMAR】
ミャンマーで精霊と交信する霊媒師の主な担い手は、女性からトランスジェンダーの女性や同性愛者の男性へと変化した。同性愛が法的に禁じられているミャンマーだが、彼らは人々の尊敬を集め、受け入れられている。

女性の精霊の物語を歌と踊りで演じるトランスジェンダー女性の霊媒師


ミャンマーで重用されている水牛の群れが仏塔のそばを通る


マンダレーの祭礼に臨む新人の霊媒師。会場のテントには花や祭壇や色とりどりの布が飾られる

【THAILAND】
多様な性に対して寛容なタイ。憑依型の霊媒師は「マーキー(馬乗り)」と呼ばれるが、その守護霊は男性であることが多い。トランスジェンダー女性が女装し、男性の霊を体現する――彼らは幾重にも性を反転させる。

仏教式の葬儀で遺体と共に装飾品が燃やされ、死者の霊を来世に送る


7人の霊に憑依され、タイで最も尊敬されるトランスジェンダー霊媒師の1人である彼女の元には、助言や治療を求めて人々が訪れる


タイ北部ランパーンの自宅でくつろぐ彼は霊媒師と文化史学者の2つの顔を併せ持つ


撮影:マリエット・パシー・アレン
ニューヨークを拠点とするアメリカ人の写真家、ライター、活動家。1978年から、既存のジェンダーに当てはまらない人々をテーマに取材。キューバのトランスジェンダー・コミュニティーについての写真集『トランス・キューバ』をはじめ、多くの著作がある。本作は最新写真集『トランスセンデンツ』からの抜粋

[2017年12月19日号掲載]

<「Picture Power」の記事一覧はこちら>

Photographs by MARIETTE PATHY ALLEN

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