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米韓離間工作だったとしても南北会談は吉報だ

ニューズウィーク日本版 / 2018年1月5日 20時45分



さらに、南北対話再開で米韓同盟に亀裂が入って生じるリスクは、韓国の通常戦力で緩和できる。海上の南北の軍事境界線に当たる北方限界線(NLL)付近で2010年3月に起きた韓国海軍哨戒艦「天安(チョンアン)」の沈没事件と、同年11月に韓国・延坪島(ヨンピョンド)を北朝鮮軍が砲撃した事件を受けて、韓国は軍事力を大幅に増強させ、北朝鮮の挑発行為に単独で対応できるよう作戦を進化させた。米韓同盟の主要目的の1つは、北朝鮮による南北統一を何としても回避することだ。独自の軍事力を強化した韓国軍は、たとえ南北対話が米韓同盟の弱体化につながっても単独で自衛できるはずだ。

韓国との関係を損なわないようにするいちばんの方法はトランプが態度を変えることだ。いま朝鮮半島を不安定化させているのは韓国ではなく、米韓FTAを槍玉に挙げたり、金正恩を「チビのロケットマン」と侮辱したり、先制攻撃を匂わせたりしてきたトランプだ。文は米韓同盟を完全に破棄することは望まないだろうが、朝鮮半島の平和という目標達成のためにより効果的なのは、攻撃的で予測不可能なトランプに頼ることより北朝鮮と対話を始めることなのだ。

南北会談の再開は朝鮮半島の安定と平和へ向けた第一歩だ。北朝鮮が米韓間に楔を打つために会談を利用するという懸念も軽んじてはいけないが、リスクは限定的なのに対して恩恵ははるかに大きい。トランプとトランプ政権幹部が口を慎めば、リスクはもっと小さくなるだろう。緊張に次ぐ緊張だったこの1年、誰も得はしなかった。やり方を変えるべきときだ。

(翻訳:河原里香)


エリック・ゴメス(ケイトー研究所政策アナリスト)


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