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金正恩が背負う金王朝の異常性

ニューズウィーク日本版 / 2018年1月15日 17時30分

だがジョンズ・ホプキンズ大学の北朝鮮分析サイト「38ノース」の専門家で北朝鮮指導部に詳しいマイケル・マッデンなど一部の専門家は、最初は正男の方が後継者候補として有力だったとする見方に反対する。マッデンと同じ38ノースの専門家で、同大高等国際問題研究大学院の米韓研究所所長を務めるジェームズ・パーソンによれば、金正日は父・金日成の不興を買うのを恐れて息子たちを隔離させた、とも言われているという。



「金正日は2人の息子を決して会わせなかった。正恩は正男に一度も会ったことすらない、とも言われている」とパーソンは本誌に語った。

「金正日が息子たちを隔離させたのは、複数いた夫人との関係を金日成から隠すためでもあった。金日成は金正日の女性関係に猛反対だった」とパーソンは言った。

李は、孤独な幼少期を過ごしたことが金正恩の人格形成に影響を及ぼしたようだ、とABCニュースに語った。最高指導者の座についた正恩は、ベテランのエリート幹部を次々に粛清し、父以上に残酷な独裁体制を敷いた。逆に国民に対しては、北朝鮮の指導者として初めて妻を公の場に同伴させ、下級役人にも頻繁に声をかけるなど、祖父や父よりオープンな顔を見せている。

金正恩のそうした特性すべてが、ドナルド・トランプ米大統領の気に食いらなかった。トランプは北朝鮮に対する軍事的な圧力を強化し、厳しい制裁を科して経済的にも追い詰めようとした。金とトランプは互いの国への核攻撃も辞さないと脅し合い、個人的にも侮辱を繰り返してきた。金は元日の「新年の辞」で韓国の平昌で来月開催される冬季五輪に選手団を送る意向を示し、2年ぶりに南北当局者会談も開催されて一気に緊張緩和に向けた期待が膨らんだが、その後は米韓合同軍事演習の中止を求めるなど再び強硬姿勢に転じ、相変わらず何を考えているのかわからないままだ。

(翻訳:河原里香)


トム・オコナー


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