ダムや原発に忍び寄る、サイバー攻撃の魔の手
ニューズウィーク日本版 / 2018年1月17日 14時50分
しかし現実には、重要インフラを保有・運営する民間企業のほとんどはこうした備えができていない。銀行など一部のセクターは大規模な対策をしてきた。当然だろう。顧客の資金と信頼を必要とする銀行にとって、サイバーセキュリティーはビジネスモデルの要だ。
一方、電力業界ではそうはいかない。電力会社の経営陣にとってサイバー攻撃はあくまでも仮定の話だ。彼らの多くはサイバー攻撃を未然に防ぐには攻撃を受けた後の後始末と同じくらいカネがかかる(しかも無駄かもしれない)と考え、あまり投資したがらない。
だがそんな考え方は大きな間違いであり、危険もはらんでいる。敵の狙いは必ずしも破壊だけとは限らない。インフラを「人質」にして身代金を要求する可能性もある。
16年にロサンゼルスの病院のコンピューターシステムがランサムウエアに感染した際には、病院側はハッカー集団の要求どおり身代金1万7000ドルを支払った。
フーバー・ダムや原子力発電所が標的になったら身代金をいくら要求されることやら......。防御策を講じるのとどちらが高くつくか、計算してみるといい。
<本誌2017年12月26日号「特集:静かな戦争」から転載>
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[2017.12.26号掲載]
マックス・カトナー
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