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スマート家電を狙う新型ボットネットの脅威

ニューズウィーク日本版 / 2018年2月7日 18時0分

<新型ボットネットはIoTに接続された機器の脆弱性に付け込んで乗っ取り、企業や基幹インフラに妨害攻撃を仕掛ける>

インターネットに接続された冷蔵庫やエアコンなどのスマート家電がハッカーに乗っ取られ、ネットをダウンさせかねない巨大なボットネット(悪意のあるユーザーによって遠隔操作されているコンピューター群)に変貌する――。専門家はそう警鐘を鳴らしている。

ネットセキュリティー企業チェック・ポイントによれば、最近注目される新型のボットネットは、16年に破壊的なサイバー攻撃を仕掛けたマルウエアMiraiを「はるかに上回るペース」で機器を乗っ取り続けるという。

「既にアメリカやオーストラリアなど世界中で100万以上の組織や企業に影響が出ており、その数は増える一方だ」と同社は警告する。「今は嵐の前の静けさ。もうすぐハリケーンがやって来る」

ボットネットはスマート家電やウェブカメラなど、いわゆるIoT(モノのインターネット)に接続した機器の脆弱性に付け込み、企業や組織、基幹インフラにDDoS(分散型サービス妨害)攻撃を仕掛ける。

16年にはMiraiが生み出したボットネットがネットフリックスやレディット、ツイッターといったネット関連企業のほか、ロシアの銀行も標的に。同年11月にはリベリアで国のネットインフラをダウンさせた。

新型ボットネットははるかに危険性を増している。IoT接続機器を次々に感染させ、他の機器に感染を拡大させるのだ。「全く新種の、より高度な攻撃が世界中で急速に広がっている」と、チェック・ポイントの広報担当者は言う。「さまざまな国のさまざまなタイプの機器から攻撃が行われている」

セキュリティーソフトを開発・販売するブルガードは16年、最多で1億8500万の機器がハッカーによってボットネットに組み込まれる恐れがあるとの調査結果を発表。多くのスマート機器メーカーがセキュリティー対策をないがしろにしていることも状況を悪化させている。ハイテク市場調査会社ガートナーの予測では、20年にIoT機器の数は200億を超える。



サイバーセキュリティー対策の大手マカフィー社の創業者ジョン・マカフィーは、近い将来「サイバー版の原子爆弾」が生まれる前兆かもしれないと警告した。「さまざまな脆弱性が存在するのは明らかで、そうした脆弱性が大規模に利用されてもおかしくない」

人工知能(AI)がサイバー能力を飛躍的に向上させる可能性はこれまで以上に高まっており、サイバー攻撃はより頻繁かつ高度になる。技術の進歩につれてツールとスキルの市場も拡大し、カネさえ出せば誰でも強力なサイバー攻撃能力を手にできるようになる。その結果、サイバースペースの「軍事化」が進み、国際社会の安定に深刻なリスクをもたらす。

「超大型ハリケーン」に備えて対策を急がなければならない。

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[2017.12.26号掲載]
アンソニー・カスバートソン

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