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たとえ株価が下がろうとFRBは超低金利から中間層を救うべきだ

ニューズウィーク日本版 / 2018年2月14日 20時0分

虎の子の蓄えが半分に目減りした退職者の心境は察するに余りある。



FRBが金利を上げ、10年物米国債の利回りを過去平均並みの6.24%に戻した場合、56歳の夫婦が年金を100%受給できる67歳になるまでの間に、退職金をリスクなしで倍に増やすことができる。

10年に渡る低金利政策は、単に人々の貯蓄に損失を与えただけではない。それは一攫千金的な文化を刺激し、長期投資は損と感じる風潮を作った。デイトレーディングと不動産転売ブームが復活したのは、人々が資産価格のさらなる高騰を期待するようになったからだ。読みが外れれば、厳しい結果が待っている。

超低金利はアメリカの若者のキャリアに対するインセンティブを歪めた。数世代前の最優秀層の学生は、医学や工学、科学分野のキャリアを追求したものだ。そこでは成功の報酬が生涯にわたって発生した。

今は多くの優秀な若者が、一攫千金をねらって金融界になだれこんでいる。彼らは複雑な金融商品や低金利の資金に頼って、早く大きな利益を得ようとする。

景気後退の長期的効果

低金利融資は、経済バブルを引き起こす典型的な元凶だ。投機家は低コストで資金を借りて資産価格を押し上げ、バブルがはじける前に売り逃げようとする。必然的に、誰かが貧乏くじをひかされる。資産バブルがこのまま膨れ上がり破裂するのを待つよりは、今のうちに萎ませるほうがいい。

金利を従来の水準まで上げることは、一時的に経済成長を滞らせるだろうし、短期的な景気後退さえもたらすかもしれない。だが景気後退は痛みを伴うが、長期的には経済をより健全なものにするのに役立つ。

古い茂みを焼き払う火事が森林の再生を促すように、景気後退は低金利融資のおかげで生き残った赤字を垂れ流す「ゾンビ」企業にとどめを刺すだろう。金利の上昇は、長期的な経済成長と雇用創出を促進する生産的な企業に資本を再配分させるだろう。

今こそ、倹約、産業、貯蓄などアメリカを築く礎となる習慣を奨励する通貨政策が必要だ。


トッド・スタイン(米投資銀行ブレイサイド・キャピタル社長)


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