イタリア極右が総選挙前にすみ分け作戦
ニューズウィーク日本版 / 2018年3月2日 16時0分
彼らは「発言に神経を使っている。議会入りを目指しており、銃撃犯と同類とみられるわけにはいかないからだ」と、極右の動きに詳しいジャーナリストのウゴ・タッシナーリは話す。
同盟も銃撃事件についてはほぼ同じ声明を出し、「この国に不法移民をあふれさせた」として、リベラル寄りの現政権を非難した。ベルルスコーニのコメントも似たようなものだった。
銃撃事件が起きたその日に「トライーニを支持する」と公然と宣言したのは、フォルツァ・ヌオバだけだ。幹部のダポッソによると、自党の弁護団を無償で差し向けるとトライーニに申し出たが、弁護人は間に合っていると断られたという。トライーニはフォルツァ・ヌオバの集会に参加していたものの、正式なメンバーではなかったと、ダポッソは明かした。
それにしてもなぜ銃撃犯を支持するのか。タッシナーリによると、これも支持拡大のための戦略だ。「カーサパウンドが発言を慎むようになったので、フォルツァ・ヌオバは空いた場所を埋めようとしている。トライーニのような人間をヒーロー扱いする人々がおり、この層にアピールできるのは今ではフォルツァ・ヌオバだけだ」
反移民の世論に受けるため右派政党がこぞって穏健派の皮をかぶるなか、フォルツァ・ヌオバだけはネオファシズムの旗を振ってコアな支持をつかもうとしている。
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[2018.3. 6号掲載]
アンナ・モミリアーノ
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