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全人代第一報──政府活動報告

ニューズウィーク日本版 / 2018年3月5日 15時42分



ということは、これだけでも合計7800万人の貧困層がいる(あるいは「いた」)ということになろうか。政府統計ではなく、民間では1億人~2億人の極貧層がいるとされており、習近平政権が目指すところの「社会主義国家」とは、およそ掛け離れた現状であるということができよう。

憲法改正により国家主席の任期を撤廃して、「社会主義国家」の実現を目指すとしているようだが、果たしてこの現実とのギャップをどう埋めるのか、見ものである。

異様な会期日程

例年の全人代は3月5日に開幕し、14日には投票によって国務院(政府)系列の人事が決定し、15日に閉幕した後、国務院総理による全人代に関する記者会見を開くというのが、基本的な日程だ。

しかし今年は違う。

国家主席の任期を撤廃すべく憲法改正を行なうため、閉幕は3月20日のようだ。

憲法改正案の採決は3月11日に行われる見通し。

開幕式における李克強の報告は午前中で終わったが、午後には憲法改正案の説明がある。
 

なお、習近平国家主席は終始、憮然たる面持ちでふんぞり返っており、その表情から「紅い皇帝」になる心中を読み取ろうとしたのだが、書くべきことが多すぎて、できたら11日の投票結果を待ってから、詳細に述べたい。

司会は党内序列ナンバー3の栗戦書が行なった。彼はこの全人代で、「全人代常務委員長」に選出されるであろうことから、すでに決まったものとしてこの任に当たったものと考えることができる。

国家主席&副主席の選出は17日で、国務院総理の選出は18日、国務院副総理や国務委員などの選出は19日に行われる模様である。

(このコラムを書いているのは李克強の報告が終わった時点なので、先ずは第一報として全人代の様子をご紹介した。今後、第二報、第三報として発信していくつもりである)


[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。


※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

≪この筆者の記事一覧はこちら≫

遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


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