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リトビネンコ事件再び?ロシア元スパイが毒物で重体──スティール文書と接点も

ニューズウィーク日本版 / 2018年3月7日 19時0分

「今回の捜査はまだ初期段階にあり、現時点ではどんな憶測も無益だ」とイギリスのテロ対策を統轄するマーク・ローリー副総監は語った。

「今の段階では、被害者らが重篤な症状に陥った原因を明らかにすることに集中している。われわれがこの事件を非常に真剣に受け止めていることを改めて国民に示したい。今のところ国民に広く危険が及ぶとは考えていない」



オンライン誌バズフィードによる2017年の調査によれば、米情報機関によってロシアとの関連が裏付けられたイギリス国内での死者は14名にのぼる。

スクリパリの事件についての詳細はあいまいで、まだ未確認情報が多い。だが一部には、放射性物質ポロニウム210で毒殺されたロシア連邦保安局(FSB)の元職員アレクサンドル・リトビネンコの事件との関連を指摘する声もある。

2006年にロンドンで殺害されたリトビネンコは、ロシア政府とプーチン大統領を公然と批判していた。彼はMI6(英国情報部国外部門)から報酬を受け、ロシアのマフィアの捜査に関わっていた。

イギリス当局は捜査の結果、KGB出身の国会議員アンドレイ・ルゴボイがリトビネンコのお茶に毒を入れて暗殺したと告発。プーチン大統領が暗殺を命じたと非難した。ルゴボイは犯行を否定している。

リトビネンコの未亡人マリーナ・リトビネンコはデイリー・テレグラフにこう語った。スクリパリ事件は「私の夫に起こったことに似ているが、より多くの情報が必要だ。その物質が何か。放射性物質だったのかどうか」



スクリパリ事件が起きたタイミングに着目して、インターネットでは、トランプとロシアに関する「スティール文書」との関連を指摘する推測が飛び交っている。

この文書を執筆したのはMI6元職員クリストファー・スティール(53)。ニューヨーカー誌3月5日号でその人物像が記事になり、インターネット上で広く話題になっている。

ソ連が崩壊し、分裂した90年代、スティールはモスクワの英国大使館に勤務する外交官を偽装したスパイだった。

2006年から09年にかけて、スティールはロンドンに戻ってMI6のロシア部門主任を務め、その後、独立して調査会社オービス・ビジネス・インテリジェンスを立ち上げた。オービスは、クリントン陣営のために働く弁護士の依頼で、このトランプに関する文書を作成した。

同時に、スティールはロシアでスパイとしても働いていた。彼がMI6のロシア部門を運営しはじめたころ、スクリパリはイギリスの諜報機関に機密情報を渡していたと言われており、2人が知り合いだった可能性が高まっている。

ニューヨーカー誌のスティールの記事にはこんな一節がある。「スティールが恐れていたのは、ロシア人の情報提供者の正体がばれて、死刑になることだ」

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