ウイグル絶望収容所の収監者数は89万人以上
ニューズウィーク日本版 / 2018年3月13日 15時15分
留守児童の死と、収容所で死んだ子ども
収容所では携帯電話を充電することさえできないが、ごくまれに内部の声も漏れ伝わってくる。強制収容所問題を報じ続けているアメリカの短波ラジオ放送「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」の17年8月22日付ウイグル語放送によると、同局記者が「収容者から、直接話を聞きたい」と収容所員宛に掛けた電話に、偶然出たアブドゥジェリル・アブドゥケリム(ウイグル人)は、「グルジャ県内の強制収容所に収監された理由は、息子をトルコ留学させたからだ」とインタビューに答えている。つまり収監の正当な理由など無いのだ。文化大革命の時代と同様、「反革命」「反愛国」的と見なされれば、誰でも収監される。
ウイグル人強制収容政策が始まって1年を過ぎた最近、国外在住ウイグル人の間で最も懸念されているのが、「留守児童」の問題だ。親族が収容所送りとなり幼児だけ自宅に取り残されているケースが多発し、残された幼子たちは孤児収容所送りとなることが多いものの、自宅に残された幼児も多数いて、そうした子どもが事故死したとの事例も頻繁に聞こえてくるようになった。さらに「非人道の極み」として聞こえてくるのが、収監された子どもの死亡ニュースである。
「留守児童」問題については、ホタンのグマ県コクテレック村役場が作ったチラシ(写真)が、その深刻な事態が露呈させている。RFAの18年3月5日の報道によると、コクテレック村のエスマ・アフメット(8歳)は、石炭ストーブの上にのせていた鍋が倒れたことが原因で、全身60%の大やけどを負った。父母と兄は再教育のため不在で、エスマは自分で食事を作ろうとして事故に遭った。村役場はこの状況に心を痛め、治療には30万元が必要だ、とのビラを配布した。
コクテレック村役場が作ったチラシ
18年2月12日の報道では、ウルムチ在住だったカリビネル・トフティは「子にイスラム的な名前をつけているウイグル人は、改名させなくてはならない」との政府方針に従わなかったことを理由に、夫婦共に収容所送りとなった。彼らの3人の子ども達が全て消息不明だと、国外の親族が探している。
17年10月13日の報道で、南新疆の孤児院の職員は場所と施設名を未公開とする代わりに、比較的詳細を語っている。「両親が再教育施設収監のために孤児となった生後6ヶ月から12歳までのウイグル人の子ども達を預かっているが、突如として増えた子ども達であふれかえり、仔牛の群れを小屋に入れて飼育しているような状態だ」「福祉が追いつかず、週に一度だけ肉を使った食事を出せ、それ以外は基本的におかゆだけだ」「施設は厳重に制限され、外部者が施設内に入れない」
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