トランプが金正恩と会ってはならない3つの理由
ニューズウィーク日本版 / 2018年3月26日 10時0分
それでも、大きな勝利を手にするのは金のほうだろう。必要なのは、朝鮮戦争の休戦協定を和平協定に転換する交渉をするなら、朝鮮半島の非核化について話し合うつもりがあるとトランプを納得させることだけだ。
北朝鮮の真の狙いは昔も今も変わらない。50年の朝鮮戦争開戦を受けて創設された国連軍司令部、および米韓連合司令部の解体、韓国を覆うアメリカの核の傘の撤去だ(北朝鮮の定義によれば、それが「朝鮮半島の非核化」だ)。
北朝鮮との交渉には、こうした罠が複数ある。この国の指導層は数十年間、国連安保理決議やアメリカと同盟国の協定の微妙な点をうまく突こうとしてきた。対するトランプ政権は、北朝鮮への対応を熟知する外交官を脇へ追いやっている。
米朝首脳会談が非核化への具体的なステップにつながる可能性もなくはない。だが対北朝鮮政策通のうち、そんな期待を抱く者は私が知る限りゼロだ。
それとも米朝首脳会談も、トランプが提案したワシントンでの大々的な軍事パレードと同じく、尻すぼみの道をたどるのか。米政権内の現実派の動きによって首脳会談の開催が先送りされ、無害な準備会合が続けられる形になるかもしれない。
いずれにしても、米政権内で北朝鮮の「封じ込めと抑止」戦略に取り組む人々が、今回の政治ショーに足を取られないことを願うばかりだ。おそらく当面、その戦略以外に頼れるものはないのだから。
From Foreign Policy Magazine
<本誌2018年3月27日号掲載>
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きをウイークデーの朝にお届けします。ご登録(無料)はこちらから=>>
マイケル・グリーン(米戦略国際問題研究所アジア担当上級副所長)
-
-
- 1
- 2
-
この記事に関連するニュース
-
岩田明子 さくらリポート トランプ氏再任なら懸念される「北朝鮮外交」拉致問題解決を迫ることができるのか 暗殺未遂事件、自民総裁選にも影響
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月17日 6時30分
-
露朝、軍事協力が加速「北朝鮮がウクライナに派兵」の情報、見返りはミサイル精密誘導技術か 日本は3方面と対峙することに
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月16日 6時30分
-
同床異夢の朝露新条約、危険な金正恩の「誤信」(下)
Japan In-depth / 2024年6月28日 17時0分
-
社説:ロ朝の新条約 国際秩序を脅かす軍事連携
京都新聞 / 2024年6月25日 16時0分
-
プーチン訪朝でもロ朝の軍事的重要性は薄い インフラ整備など経済協力も発展・拡大するか未知数
東洋経済オンライン / 2024年6月22日 13時0分
ランキング
-
1韓国でLINEユーザーが急増した理由 日本への反発?
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月17日 15時55分
-
2ウクライナ侵略開始後、動員や弾圧避けるためロシアから65万人流出か…露独立系メディア集計
読売新聞 / 2024年7月17日 18時23分
-
3血まみれで逃げる患者…「一線超えた」ウクライナの小児病院医師、露のミサイル攻撃を非難
産経ニュース / 2024年7月17日 15時32分
-
4米副大統領候補のバンス氏、台湾へのパトリオット供与遅れを批判「ウクライナのせい」
産経ニュース / 2024年7月17日 14時38分
-
5トランプが銃撃を語る電話音声が流出「バイデンは親切だった」「世界最大の蚊かと思ったら弾丸」
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月17日 18時23分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)