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「幸せな国」デンマークにあって我々にないもの

ニューズウィーク日本版 / 2018年3月27日 13時14分

調査によれば、ヒュッゲはデンマーク人の幸福感に欠かせないものになっている。ヒュッゲはストレスを和らげ、また仲間意識を築く機会をつくる役割も果たす。デンマークのように個人主義が発達した国において、ヒュッゲは平等主義を促進し、信頼関係を強化するものになり得る。

デンマークの文化心理と文化に完全に組み込まれていると言える「ヒュッゲ」は、世界的な現象にもなりつつある。アマゾンでは今や「ヒュッゲ」に関する900以上の本が売られているし、インスタグラム上には「#hygge」のハッシュタグがついた投稿が300万件以上ある。グーグル・トレンドのデータを見ても、2016年10月以降、「ヒュッゲ」の検索が大幅に増えているのが分かる。

またデンマーク以外にも、「ヒュッゲ」と同じようなコンセプトをあらわす言葉がある国もある。ノルウェーは「コーセリ(koselig)」、スウェーデンは「ミューシグ(mysig)」、オランダは「ヘゼリッヒハイト(gezelligheid)」、そしてドイツは「ゲミュートリヒカイト(gemütlichkeit)」だ。

ヒュッゲを欠くアメリカ

デンマーク同様に個人主義を重んじるアメリカには、文化的に「ヒュッゲ」に真に相当するものはない。一般に収入は幸福度と関連があるとされるが、アメリカはGDP(国民総生産)が成長し、失業率も低下しているのに、幸福度は着実に下降線をたどっている。

理由として考えられるのは、所得格差が大きいこと。また個人間の信頼や、政府やメディアなどの各種機関に対する信頼が著しく損なわれていることも問題だ。最終的には、より高い可処分所得も、必要な時に頼れる人がいるという心地よさ(デンマーク人の95%が自分にはそういう人がいると考えている)にはかなわないのだ。

「ヒュッゲ」にとって重要なのは、自分以外の人との間に親しい関係や信頼を築くこと。

アメリカ人の生活にも、もう少しヒュッゲが必要なのかもしれない。

(翻訳:森美歩)

Marie Helweg-Larsen, Professor of Psychology, Dickinson College

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.


マリー・ヘルウェグラーセン(米ディキンソン大学心理学教授)


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