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一国二制度「連邦制統一国家」朝鮮?──半島問題は朝鮮民族が解決する

ニューズウィーク日本版 / 2018年4月3日 17時0分

以上のどの場合においても、韓国側もまた別途、統一方案を提起している。

4.1987年に提案されていた機密文書

3月30日付のコラム「中朝首脳会談から見る非核化問題――機密解除された外交文書から」で触れたように、1987年12月にワシントンのホワイトハウスで開かれた米ソ首脳会談の際、当時のソ連のゴルバチョフ書記長が北朝鮮の依頼を受けてレーガン米大統領に文書を渡していた。そこに描かれているのは、「中立」を軸に据えた連邦制統一方案だ。つまり、「南北が第三国と締結した民族の団結に反するあらゆる協定・条約を破棄する」ことが書かれており、これらから、北朝鮮が言うところの「朝鮮半島の非核化」は「米中両大国からの中立」を意味していることになる。

中国はどう見ているのか

問題は中国は、この「一国二制度」的な「連邦制統一国家構想」をどう見ているかである。

まずメリット。

言うまでもなく在韓米軍が撤退せざるを得なくなるので、そこは大歓迎だ。付設しているレーダーが中国の東北一帯の軍備配置を一望できるTHAAD(サード)の韓国配備もなくなる。大いに結構だと思うだろう。

もう一つ中国にとってのメリットは、朝鮮半島から「核」がなくなれば、中国の北からの核ミサイル脅威は完全に消えるだけでなく、アメリカが明確にはしていない(撤退させたと言っている)韓国にあるかもしれない核兵器に対しても警戒しなくて済むようになる。

南北朝鮮との経済交流も何ら制限を受けることがないようになれば、中国にとって、こんなありがたいことはない。北朝鮮に眠る豊富なレアメタルなどの地下資源、それから中国の東北一帯の改革開放を滞らせてしまった「海への連結」も、北朝鮮の港を使うことにより改善される。

ともかくアメリカによる北朝鮮への先制攻撃が無くなれば、中国は戦争に巻き込まれなくてすむので、一党支配体制維持には好都合だ。

だから朝鮮半島に「異なる政治体制を併存させたままの一国二制度的な、朝鮮族による統一国家ができること」には賛成ではある。



しかし、何度も書いてきたように、朝鮮民族による統一国家ができ上がれば、隣接する中国吉林省朝鮮族延辺自治州にいる中国籍朝鮮族の心は穏やかではないだろう。民族への郷愁、祖国への思いは、どの時代、どの場所においても変わらないものだ。彼らが祖国や民族へのノスタルジーから延辺自治州を離れれば、中国における少数民族の独立を刺激する危険性を孕んである。それは一党支配体制崩壊への引き金となりかねないのである。

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