いまだにナゾだった関節がポキっと鳴るメカニズム、ついに解明に近づく
ニューズウィーク日本版 / 2018年4月4日 18時30分
スジャ氏の研究チームが開発した数理モデルは、中手骨節関節でクラッキング音が鳴る際に気泡が弾ける運動状態を表現するものだ。関節を軸対称と仮定し、クラッキング音が鳴るときの関節内の圧力変動を表わす式、この圧力変動による気泡の大きさの変動を表わす式、気泡の大きさの変動と生成される音とを結びつける式という3つの式で構成されている。
この数理モデルによってシミュレーションされた音の大きさや周波数は、文献に示されているものとよく似ており、音響の波形は、研究チームが20代の被験者3名から測定したクラッキング音とも非常に似ていた。
つまり、この数理モデルは、気泡が弾けることがクラッキング音の原因であることを示している。また、この数理モデルによれば、気泡の一部が弾けるだけでクラッキング音が鳴り、その後も滑液に気泡が残ることが明らかになっており、前述の「キャビテーション理論」にまつわる矛盾も解消されている。
クラッキング音が鳴るメカニズムにはまだ明らかにすべき点が残っているが、スジャ氏らのこれらの数理モデルは、1世紀以上にわたって続く議論に新たな視点をもたらすものとなりそうだ。
松岡由希子
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