河野発言、中国に思わぬ一撃か?
ニューズウィーク日本版 / 2018年4月5日 12時48分
となれば、南北首脳会談は別としても、そもそも米朝首脳会談は成立し得ないことになる。トランプは田中角栄(元首相)のように「よっしゃ!」の一言で本気で日中国交正常化を断行してしまうのではなく、「オーケイ!」と言いながら、平気で前言を翻す人物だ。
ましていわんや、中朝首脳会談が全世界をアッと驚かせてしまった以上、米朝首脳会談が行われたとしても、トランプが国際社会に与える衝撃はさほど大きくはないことになろう。米大統領の中間選挙にも、大きく有利に働くとも限らないことになる。ひょっとしたら、中国が描いてきた戦略は「米朝首脳会談」という終点を見ることができなくなるかもしれない。つまり、中国の外交勝利は果たせないことになる。
まさに『習近平vs.トランプ 誰が世界を制するのか』の分岐点となり得るのである。
だから、その中国にとって、河野発言は実に目障りなのだ。
河野外相自身の狙いは分からないが、中国に対しては思わぬ一撃となっていると見ていいだろう。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
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