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いったい何のため?シリアの子供たちを化学兵器で攻撃

ニューズウィーク日本版 / 2018年4月9日 18時30分

シリアを支援するロシア国防省内の「シリア・ロシア敵対勢力調停センター」の代表を務めるユーリ・エフトシェンコ少将はロシア国営タス通信の取材に対し、シリア政府の関与を否定した。

「われわれはこの情報を強く否定するとともに、ドウマが武装勢力から解放されたあかつきには、放射能や化学兵器、生物兵器への防護態勢を整えたロシアの専門家を現地に派遣し、これらの声明がねつ造であることを証明するためのデータ収集に当たらせる」とエフトシェンコは述べた。

アメリカ政府は化学兵器攻撃で被害が出ているとの報告について、もし確認されれば即時の対応を国際社会に求めるとの立場だ。

米国務省は声明で、これらの報告は避難所にいる一般市民を含む「多数の犠牲者が出た可能性」を示していると述べた。また、シリア政府を「支援する姿勢を崩していない」ロシアは、今回の攻撃の「最終的な責任を負う」と指摘。「政権の過去の自国民に対する化学兵器の使用歴は疑う余地がない」とも述べている。

トランプ米大統領は8日、化学兵器による攻撃に関与した者は「大きな代償」を払うことになるとツイッターで述べた。

「シリアの愚かな化学兵器攻撃で女性や子供を含む大勢が死んだ。残虐行為が行われた現地はシリア軍によって封鎖され包囲されており、外の世界とは完全に遮断されている。(ロシアの)プーチン大統領、ロシアそしてイランには、けもの同然のバシャール・アサド大統領を支援した責任がある。高い代償を支払うことになるだろう」



1年前にもシリア北西部の反政府勢力支配地域ハーンシャイフーンでサリンによる攻撃が起き、80人が死亡した。その後の国連と化学兵器禁止機関(OPCW)の合同調査でも、この攻撃はシリア政府が行ったとの結論が出ている。

この時、トランプは対抗措置として、シリア政府軍の施設に対するミサイル攻撃を命じ、7人が死亡し9人がけがをした。これはアサド政権に対する米政府の初の直接的な軍事行動だった。

東グータ近郊では13年8月にもサリンを使った攻撃が行われた。米オバマ政権やその同盟国からアサド政権の関与を主張する声が上がり、国連の調査が行われた。

ロシア仲介の反政府勢力の撤退交渉は頓挫

トランプ政権が今後、シリアにおけるさらなる軍事行動にどれほどに積極的に取り組むかは分からない。というのもトランプは数日前、ISIS(自称イスラム国)との戦いのためシリアに駐留する2000人の米部隊を撤退させる意向を示したばかりだからだ。

もっともトランプは、撤退のスケジュールついて具体的な言及はしていない。

シリア政府はまた、反政府勢力に対し塩素ガス攻撃を繰り返していると非難されている。最近の例としては東グータで1月に行われた攻撃が挙げられる。

ホワイト・ヘルメットのサレハはアルジャジーラに対し、7日の攻撃では塩素ガスやもっと毒性の強いガスが使われたと述べた。

ドウマは東グータで最後に残された反政府勢力が支配する町で、ロシアの支援を受けたシリア軍からの激しい爆撃にさらされてきた。

イギリスに拠点を置くシリア人権監視団によれば、ドウマでの爆撃による民間人の死者は6日以降だけで70人に上るという。ドウマでは、反政府勢力の撤退に向けたロシア政府の仲介による交渉が頓挫した後、空爆が再開されていた。

(翻訳:村井裕美)


トム・ポーター


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