朴槿恵に懲役24年の判決、韓国歴代大統領の哀しき末路
ニューズウィーク日本版 / 2018年4月12日 16時20分
<韓国初の女性大統領に、収賄や職権乱用などの罪状で懲役24年の判決が下されたが、韓国では歴代大統領が退任後に汚職容疑で逮捕されるのがお決まりのパターン>
ソウル中央地裁は4月6日、朴槿恵(パク・クネ)前大統領に懲役24年の判決を下した。判決の言い渡しはテレビで生中継(勾留の続く朴は出廷拒否)。韓国初の女性大統領は収賄や職権乱用、強要などで有罪とされ、180億ウォン(約18億円)の罰金も科された。
朴はスキャンダルの中心人物だった親友の崔順実(チェ・スンシル)に政策の助言を求めたことを謝罪したが、違法行為については否定。弁護団は控訴する計画だ。裁判所の前では、約1000人の支持者が有罪判決に抗議した。
父親の朴正熙(パク・チョンヒ)は軍事クーデター後の63年に大統領就任。79年に暗殺された。娘の朴は民主的に選ばれた指導者で初めて、弾劾で失職した大統領となった。
ただし、韓国大統領の転落劇は今回が初めてでは決してない。初代大統領の李承晩(イ・スンマン)は60年にハワイへ亡命。朴の父と同じくクーデターで権力を握り、80年に大統領に就任した全斗煥(チョン・ドゥファン)は、後継者の盧泰愚(ノ・テウ)と共に民間人虐殺の責任と汚職の罪を問われ、一審では全は死刑、盧は懲役22年半の判決を受けた。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)は大統領退任後の09年、収賄容疑の捜査の過程で自殺した。朴槿恵の前任者だった李明博(イ・ミョンバク)も、今年3月23日に収賄などの容疑で逮捕され、4月9日に起訴された。
韓国の汚職は政府高官と経済を牛耳る財閥の癒着が原因だ。昨年5月に就任した文在寅(ムン・ジェイン)現大統領は「清らか」なままでいられるのか。文は清廉潔白な人物だけを閣僚に起用すると誓約したが、この約束を実現するのが難しかったため、何人かの閣僚の任命が遅れた。
文は今のところ高支持率を保ち、クリーンさでも高く評価されている。韓国大統領府の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官は、朴の有罪判決を受けて次のようなコメントを発表した。「過去を忘れる者は過去を繰り返すと言われる。私たちは今日という日を忘れない」
[2018.4.17号掲載]
ソフィア・ロット・パーシオ
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