【写真特集】エトナの民は火山と共に生きる
ニューズウィーク日本版 / 2018年4月19日 18時50分
<イタリア・シチリア島にあるヨーロッパ最大の活火山エトナは、地元の人々に脅威とともに大いなる自然の恵みを与えている>
古代ローマの時代、そこは火の神バルカンの土地だった。イタリア南部シチリア島にあるヨーロッパ最大の活火山エトナ。かつてモンジベッロと呼ばれていたその巨大な山は、人々から畏怖の対象ではなく心のよりどころとして捉えられてきた。
地中海の真ん中にそびえ立つ「優しき巨人」は、何千年も人々を魅了。2013年には世界遺産にも登録された。
斜面を時折駆け降りてくる溶岩流は、麓に暮らす人々にとっては常に大きな脅威だ。聖アガタが殉教した翌年、エトナが噴火した時に彼の遺品であるベールをかざすと溶岩流が止まったという言い伝えも残る。
だが住民にとって、溶岩は「死」よりも多くの「生」を与えてくれるもの。カターニアなど麓の町の建物は火山がもたらす上質な玄武岩で造られ、石材は世界中に輸出される。火山灰は肥沃な土地を生み、オリーブオイルやワイン、ピスタチオ、アーモンド、アンズ、モモなど多くの農作物が実る。
観光業も盛んだ。毎年150万人がエトナ火山に登り、赤く燃え盛る溶岩が雪を溶かしながら流れゆく壮大なショーを楽しんでいる。
エトナ火山の麓には30万人以上が暮らすカターニアの町がある
1669年の噴火で溶岩の下に埋まったカターニアの教会。一時は完全に埋没していたが、2016年から修復作業が進められている
イースターには「悪魔の祝宴」と呼ばれる宗教行事が催される
カターニアの考古学博物館の紀元前530年の展示物
カターニアの「エトナポリス」ショッピングセンターを訪れる人々
ワイン畑で作業する労働者たちの背後にはエトナ山の姿が
エトナ山が見えるカターニアの遊園地「エトナランド」では子供たちがアトラクションを楽しむ
エトナ山を望む地中海の海岸でマリンスポーツを楽しむ観光客
エトナ山の北東側の斜面にはスキー場もある
メッシーナ近郊にあるアルカンタラ渓谷は、数百年前のエトナ山噴火で流れ込んだ溶岩でできている
カターニアにある太陽電池メーカーの作業員たちが機器の清掃の準備を進める
3世紀にシチリアに流刑された3人の聖人の伝説に由来する教会内のミュージアムで、奉納品を眺める参拝者
<撮影:アレッサンドロ・ガンドルフィ>
1970年、イタリアのパルマ生まれ。哲学とジャーナリズムを学び、イタリアを代表する日刊紙レプブリカに記者として勤務した後、フォトジャーナリストに転じる。主に欧州の雑誌で活躍中
Photographs by Alessandro Gandolfi-Parallelozero
<本誌2017年11月07日号掲載>
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Photographs by ALESSANDRO GANDOLFI
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