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安倍首相の対北政策と日米首脳会談を酷評する中国

ニューズウィーク日本版 / 2018年4月24日 17時30分



3.しかし、結局のところトランプに「越頂外交」をされてしまった安倍は、「米朝首脳会談で、どうか拉致問題を取り上げてくれ」と頼むのが精一杯だった。

4.北朝鮮が、4月21日から核実験とミサイル発射を中止すると宣言すると、安倍は完全に梯子を外されてしまった。

5.アメリカの《外交政策》ウェブサイトには「安倍はすでにトランプに愛想を尽かされている」という趣旨の評論が載った。

6.トランプは一時、条件が良ければTPPに戻ってもいいという趣旨のことを言って安倍を喜ばせたが、安倍との会談では「その気はない。二国間貿易を重視する」と示唆した。

7.ゴルフ外交を展開したが、何とも不自然なムードだった。特に何かいい成果を得たというものはない。

8.日本国内では安倍は満身創痍。次々とスキャンダルに見舞われ支持率が急激に落ちている。それを外交によって挽回しようとしたが、困難なようだ。2018年9月に行われる自民党総裁選で誰が適切かという、4月15日に行われた民意調査で、石破茂への支持率が安倍を上回るに至っている。安倍の逃避行は成功しそうにない。

9.安倍はアメリカに秋波を送るだけでなく、中国に対しても助けを求めている。4月15日に中国の王毅外相兼国務委員が訪日すると、安倍は訪米直前の慌ただしい時間の中でも、王毅外相に会って、中国に接近しようとあがいている。安倍は今年が日中平和友好条約40周年であることにかこつけて、中国に近づくチャンスを積極的に求めて、中国にシグナルを送り続けているが、日中関係が本当に改善されるか否かは、日本が歴史問題を正しく直視するか否かにかかっていることを肝に銘じなければならない。

10.日本の《外交家》という雑誌が「今度ばかりは安倍は終わりか」というタイトルで評論を書いている。しかし安倍の政治経験は長く荒波も乗り越えてきた経験があるので、リスクをチャンスに転換する可能性もないではない。

CCTVのウェブサイトに書いてあった内容は、概ね以上だ。

中国に言われたくないのだが......という部分が少なからずあるが、しかしこれにより、中国が何を考えているかが窺える。その意味では興味深くチェックした。

特に気になるのは「9.」に書いてある王毅訪日に関する件(くだり)である。5月に入ると李克強の来日が予定されているが、中国の本音は、実はここにあることを忘れてはならないだろう。日本はすでに舐められている。

なお、「10.」に列挙してある『外交家』という雑誌が、どれを指しているのかは定かでない。


[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。


※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

≪この筆者の記事一覧はこちら≫

遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


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