イラン・ハメネイ師がイスラエルとアメリカに報復を警告
ニューズウィーク日本版 / 2018年5月1日 19時52分
<シリア政府軍の関連施設攻撃を受けてイラン最高指導者がアメリカの介入を強く非難。報復も辞さないと警告した>
シリアで4月29日、アサド政権軍の複数の施設がロケット攻撃を受け、支援に入っていたイラン人戦闘員26人が死亡したことについて、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師はアメリカ、イスラエルとサウジアラビアを非難。これらの国々が、イスラム世界を分断させようと共謀していると主張した。
ハメネイは、メーデーの前日である4月30日、労働者たちを前に演説。アメリカ主導の経済制裁は、シーア派イランの体制の弱体化が狙いであり、それに対抗するためには地元経済を支えることが重要だと強調した。またアメリカは、地域におけるスンニ派の大国サウジアラビアを操ってイランを追い落とそうとしている、とも言った。
ハメネイの公式ウェブサイトによれば、ハメネイは「アメリカは我々の地域に紛争を起こすために、サウジアラビアを煽っている。同じイランの敵でもイスラエルではなくサウジアラビアを煽るのは、イスラム教徒同士を争わせたいからだ」と主張。
「これらの国が賢明ならば、イランとの争いには手を出さないだろう。イランとの戦争に突入すれば、彼らは確実に敗北することになる。アメリカは、イラン革命よって生まれたイスラム共和制と衝突して犠牲を出すことは避けたいはずだ」
シリアで拡大する影響力
イランは長年、パレスチナ人が領有権を主張する土地の帰属問題をめぐってイスラエルと対立関係にある。アメリカとの確執の原因は、1953年にCIAが支援してイランに親欧米派の絶対君主制を復活させた軍事クーデターだ。
1979年のイラン革命で王政が崩壊したときは、テヘランにあるアメリカ大使館が革命派の学生らに占拠され職員は400日以上にわたって人質にとられた。
これ以降、アメリカとイランは数十年にわたって敵対関係にある。2015年にバラク・オバマ米大統領(当時)の主導でイランと核問題をめぐる枠組み合意が結ばれた時期は例外的だ。
ドナルド・トランプ大統領はイランに対してより厳しい姿勢を取っている。彼はオバマ時代の合意について内容がイランに甘いと指摘し、またイランが合意を悪用して、国外の民兵組織に対する支援や国内の弾道ミサイル開発計画を強化していると非難してきた。
イランは、イラクおよびシリア各地でイスラム過激派組織ISIS(自称イスラム国)と戦った。この中でイランが支援する各勢力が徐々に影響力を強め、イスラエルとサウジアラビアは、これが自国の安全保障を脅かしていると恐れる。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
「越えてはならない一線」を明確に、バイデンがイスラエルの戦争拡大を防ぐためにやるべきこと
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月24日 15時8分
-
当事者すべてを「ハッピー」にしたイランの報復攻撃 イランがイスラエルからの報復を恐れずに攻撃できる理由
東洋経済オンライン / 2024年4月20日 17時0分
-
中東情勢緊迫化、円安・原油高がさらに進むか!?
財経新聞 / 2024年4月16日 16時24分
-
イラン攻撃→「全面衝突」あるか、たった1つのカギ 「水面下の戦争」から局面一転、直接攻撃の衝撃
東洋経済オンライン / 2024年4月15日 15時40分
-
[社説]イランが報復攻撃 自制求める国際圧力を
沖縄タイムス+プラス / 2024年4月15日 5時0分
ランキング
-
1イラク石油・ガス田開発、中国企業のみが10カ所落札
ロイター / 2024年5月13日 10時5分
-
2米欧、ガザ停戦に向けイスラエルへの圧力足りず=トルコ大統領
ロイター / 2024年5月13日 13時13分
-
3ウクライナ東部ハルキウ州、避難者数千人に ロシア軍攻撃「ほぼ24時間」
AFPBB News / 2024年5月13日 18時13分
-
4スペイン・カタルーニャ州の独立派が過半数割れ 州議会選挙
産経ニュース / 2024年5月13日 8時53分
-
55期目プーチン人事の「狙い」 新国防相に経済通のベロウソフ氏、ショイグ氏から交代 「ウクライナ膠着で刷新感を演出か」
zakzak by夕刊フジ / 2024年5月13日 15時22分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください