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「プーチン皇帝」に反対した野党指導者と参加者1600人が拘束

ニューズウィーク日本版 / 2018年5月7日 17時20分

<ウラジーミル・プーチンの4期目の大統領就任式を目前に反プーチン集会を行ったナワリヌイは逮捕された>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を批判する野党指導者の急先鋒、アレクセイ・ナワリヌイが5月5日、自ら呼びかけた反プーチンの抗議集会で逮捕された。

3月のロシア大統領選でまたしても立候補を阻まれたナワリヌイは、5月7日にスタートする通算4期目となるプーチンの大統領就任に反対するため、ロシア全土で抗議集会を組織した。だが集会の開始前からナワリヌイの多数の支持者が逮捕され、彼も首都モスクワの会場に姿を見せて間もなく、警察に身柄を拘束された。

「(プーチンの)独裁、汚職、格差、監視、不法行為に抗議するため、祖国の街頭に繰り出そう」と、ナワリヌイ率いるチームはロシアのSNSサイト「フコンタクチェ」(VKontakte)に投稿し、全国の支持者に参加を呼びかけた。

ナワリヌイと支持者らは続々とSNSに投稿し、プーチンは事実上「皇帝」のようにロシアを支配していると批判。集会では、「彼は皇帝ではない」というスローガンを掲げた。ナワリヌイはモスクワ中心部プーシキン広場に集まった群衆の前に姿を現した後に逮捕されたと、独立系ニュースサイト「メドゥーサ」は報じた。過去の集会では、会場に到着すらできずに逮捕されたこともあった。

反プーチン派も大勢いる

3期目のプーチンは、2014年のウクライナ南部のクリミア併合と、欧米諸国によるロシア制裁包囲網が復活したのを追い風に、支持率が跳ね上がった。だが経済のほうは低迷し、実質所得は落ち込み、公共サービスも悪化の一途をたどっている。

ロシアの独立系世論調査機関レバダ・センターが4月に実施した最新の世論調査を見ても、プーチンは支持率80%以上を維持する一方、大多数の国民が首相や内閣、連邦議会といったプーチン以外の政府機関のほとんどすべてを「支持しない」と回答。

今回ナワリヌイが組織した反政府集会は、プーチンがいくら大統領選で勝っても、プーチンにロシアの問題が解決できるとは思わない有権者が大勢いることを浮き彫りにした。

だが、プーチンの代わりもいない。大統領選では投票用紙を一人が複数枚投じるなどの不正が横行したが、たとえ世界一公平な選挙が実施されたとしても、プーチンを倒せる大統領候補は他にいなかった、というのが大方の見方だ。ナワリヌイのような有力候補は、大統領選に出馬することも許されなかった。

今回も、モスクワと第2の都市サンクトペテルブルクの抗議集会は、当局の許可が下りなかった。5月5日の午後までに、ロシア全土で少なくとも400人が拘束されたと、ロシア語の独立系ニュースサイト、メディアゾナ(Mediazona)は報じた。またロイター通信は1600人の参加者が拘束されたと報じている。

(翻訳:河原里香)


ダミアン・シャルコフ

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