米朝首脳会談シンガポールに中国は──習近平参加の可能性も
ニューズウィーク日本版 / 2018年5月11日 14時0分
大連電撃訪問は、シンガポールへの試験飛行
金正恩が7日、大連を電撃訪問したのは、シンガポールへの試験飛行だ。金正恩は飛行機恐怖症。何が起きるか分からないので、危険を感じている。それを克服できるか否かを試すために、わざわざ大連を選んで、米朝首脳会談に出席するだろう全ての関係者を搭乗させてやってきた。中国政府関係者は、突き放すように説明した。
完全非核化になったら軍事的には中国を頼るしかないはず
板門店宣言では朝鮮半島の「完全非核化」を謳っている。事実、「完全非核化」に向かって北朝鮮は動くだろう。それはポンペオ長官と約束しているはずで、そうでなかったらトランプ大統領が米朝首脳会談を承諾するはずがない。
交換条件として金正恩は「金体制維持を絶対に保証すること」を大前提として交渉しており、それさえ約束されれば、あとはアメリカの要求に、基本、応じるはずだ。
これも、中国政府関係者の解釈である。そして彼は続けた。
――つまり、北朝鮮は核兵器と長距離大陸間弾道ミサイルに関しては完全放棄し、ある意味、「丸裸」になってしまう。韓国が持っている程度の武器を保有するだけだ。
となれば、何かあった時には、軍事的にはわれわれ中国を頼りにするしかなくなる。リビアの例を見ても、またイラン核合意破棄の例を見ても分かるように、アメリカは相手に武器を捨てさせておいてから、何かと理由を付けては攻撃する。
武力攻撃もあれば強烈な経済制裁もある。金正恩はそれを恐れて、中朝軍事同盟の「有効性」を習近平に確認しているくせに、一方では「中国外し」をしてみたり、米朝接近で中国を焦らせてみたりする。
そこで筆者は「しかし、米朝首脳会談を長年にわたり要求してきたのは、他ならぬ中国ではないですか?」と疑問を挟んだ。すると次の回答が戻ってきた。
――その通りだ。だから問題ないだろうと、金正恩は中国に言うだろう。
しかしその一方で、米朝接近を強化して、中国をじらすのだ。やがて日本にも近づくだろう。「日本は1億年経っても朝鮮の神聖な土地を踏めないだろう」と日本を威嚇するのは、ちょうどミサイルや核実験でアメリカを脅しておいて、いきなり対話に入る手段と同じで、「恫喝外交」の変形に過ぎない。
必ず日本との対話に、いきなり転換していくだろう。そのときに有利な条件を引き出すために、今は最大限に日本を酷評している。それが彼のやり方だ。
習近平がシンガポールに飛ぶ可能性
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