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中国激怒──米朝首脳会談中止

ニューズウィーク日本版 / 2018年5月25日 12時30分

二、米韓同盟に関しても危機をもたらすにちがいない。文在寅訪米の目的は米朝首脳会談実現にあった。その彼のメンツは完全に潰され、韓国をアメリカから離反させる役割をする。

三、中国はアメリカと協力しながら、何としても朝鮮半島の非核化を目指して努力しようとしていたが、その努力をも踏みにじったことになる。同時にアメリカは国際社会の信用を失うだろう。

四、トランプには、アメリカの方が北朝鮮よりも米朝首脳会談をしたがっていると思われたくないという意地があるだけで、そのようなつばぜり合いで金正恩を負けに追い込みたいと思ったのだろうが、これは大国のやることではない。

五、トランプの、「金正恩を負けさせたい」という子供の喧嘩のような意地は、結果的に北朝鮮を中国の方に近づけさせ、中国の役割を増大させた。中国は半島の非核化に大いに貢献し、米朝首脳会談の実現に向けて貢献することになるだろう。

したがってトランプのこの決定は、「アメリカを負けに追いこんだ要素が大きい」と解説は結論付けている。

取材した元中国政府高官は、以下のように述べた。

――トランプは愚かだ。北朝鮮の態度が5月11日の米韓合同軍事演習と、リビア方式を示唆するアメリカの姿勢にあったのにもかかわらず、それを中朝の二度目の会談(大連会談)のせいなどにして、自分の立場が弱くなるのを逃れようとした。あれは米国民に対して自分のメンツを保つためだ。そんなちっぽけな見栄を張るものだから、結局は中国の役割を大きくさせる結果を招いた。中朝は、それほど本気で緊密ではなかったが、これで北朝鮮も本気で中国を頼るしかなくなったと思い知るようになってしまっただろう。つまりトランプは愚かな宣言をすることによって中朝の緊密化を本物に近づけさせ、米韓の離間を早める結果を招いている。結果、トランプの役割は付随的なものとなる。トランプの周りにはブレインがいない。内閣がスカスカであることが露呈した。

[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。


※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


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