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複合型ハラスメントのダメージ期間「平均9日」 男も女も性差別はある!

ニューズウィーク日本版 / 2018年5月31日 20時0分

<社会的正義で論じられがちで、根本的な原因や対処の話はおざなり。ハラスメントは性別を問わない>

ハリウッドから世界にセクハラ(性的いやがらせ)を告発する動きが広まったのは、昨年秋のこと。日本でも、女性ジャーナリストの実名告発や日本テレビの女性記者と財務省官僚のセクハラ騒動が注目を集めたが、男女問わずに起こるセクシズム(性差別)もある。

先の報道のようにセクハラは、社会的正義の観点から論じられがちで、根本的な原因や対処の話はおざなりになる雰囲気がある。セクハラ、そしてセクシズムや他のハラスメントがなぜダメなのか、具体的な被害が指数で示されることが多くない現状も、冷静な議論に発展させることの足かせになっているのだろう。

先日発表された興味深いレポートがある。セクシズムや他のハラスメントを抗議活動とは異なる視点で捉えたもので、社会学者と社会伝染病学者が、これらが人の健康にどの程度の時間、影響を及ぼすかを解き明かした。

セクシズムは健康を脅かすのか

アメリカの健康と社会行動の専門誌「ジャーナル・オブ・ヘルス・アンド・ソーシャル・ビヘイビア」に掲載されたこの研究は、アメリカの職場で、セクシズムが肉体と精神に及ぼす影響を調査。さらに、健康被害の程度が性別でどう変わるのかを調べた。

男女双方に実施された質問の内容は、現在の仕事や、職場でのセクシズム、その他のハラスメントなど。シカゴ大学が無作為に抽出した18歳以上の成人を対象に行っている、総合的社会調査(GSS)によるデータを元に統計をとった。

セクシズムやセクハラなど様々なストレスを受けて「感情など精神的な健康について、過去30日間のうち、何日間体調が優れないか」の問いに、女性は平均で3.6日、男性は平均2.8日。肉体的なダメージについては女性が平均2.7日、男性が2.2日だった。



「現在の職場でセクシズムを受けた経験がある」と答えた女性は8.4%。過去12カ月間で、職場でセクシズムの対象になった人は4.1%だった。一方男性は、それぞれ2%と1%だった。一定数はいるものの、男性は女性よりも、セクシズムと健康の関係性が希薄だと予測されている。

またこの研究では、複数の差別やハラスメントが重なったケースについても調べた。複数の被害を受けた人は、全く被害を受けなかった人や1種類の被害にとどまった人よりも、大きな精神的ダメージを受けていることが報告された。

女性にとって特に深刻なダメージになるのは、年齢をやり玉に挙げたハラスメントとセクハラが重なるケース。この場合、30日のうち平均9日は精神的なダメージを引きずるという。

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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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