北が米朝蜜月を狙う理由──投資競争はすでに始まっている
ニューズウィーク日本版 / 2018年6月5日 16時20分
プーチン大統領としては他国の地で初対面というよりは、極東とはいえども、やはり自国ロシアの地で金正恩委員長を迎え、ロシアの存在感を示したいものと推測される。
韓国は言うまでもない
韓国の北との経済協力準備作業に関しては、ここで言うまでもないだろう。文在寅大統領は、アメリカの顔色を窺いながら、一刻も早く北との経済協力に着手したくて、うずうずしている様子が外からも見て取れる。6月1日に行われた南北閣僚級会談では開城(ケソン)工業団地再開に向けた南北共同連絡事務所の設置が決まったようだし、「朝鮮民族」による南北協力に関しては周知の事実である。
北朝鮮の狙い
以上から明らかなように、北朝鮮が対米蜜月を演じれば、中露両国は対米牽制として北朝鮮に秋波を送るだけで、攻撃をすることはあり得ない。つまり金正恩委員長はトランプ大統領と仲良くすることによって、アメリカに対してライバル心を持つ他の周辺諸国からの対北投資を、黙っていても誘い込むことができるわけだ。
自国の防衛問題あるいは体制保証に関しても、トランプ大統領とより緊密であればあるほど安全であることは言を俟(ま)たない。
したがって、米朝首脳会談のあと、金正恩委員長は、必ず対米蜜月を演じるであろうことが予測できるのである。
日本は?
残るは日本だ。この問題はあまりに多くを語らなければ正確な考察ができないので、機会があれば別途論ずることにしたい。少なくとも日本は今、このような国際環境の中にあることだけは、注視していなければならないだろう。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
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