ファスティング(プチ断食)は本当に健康にいい?
ニューズウィーク日本版 / 2018年6月5日 15時30分
「FMD(fasting-mimicking diet)」と称する「断食風ダイエット」では意志の強さが試される。5日間のうち初日は1日1100キロカロリー未満、2~5日目は500キロカロリー前後に制限するもので、1年間に2~3回実践するだけで断続的断食の効果が期待できることが、南カリフォルニア大学の研究で分かっている。
しかし、専門家らは慎重だ。「『結論を下すのは、生活習慣の違いも考慮に入れた、より厳密で大規模な研究が行われてからにすべき』というのがコンセンサスになっているようだ」と、キャターソンは言う。現状では断続的断食は、健康を害するほど太っている人に特にメリットのある食事制限の1つにすぎないという。
長期的な効果は未確認
例えばアメリカ心臓病協会は17年1月30日付の声明で、断続的断食は1日に少しずつ何度も食事をするのと同じく短期的には心臓にいいという研究結果があることを認めている。しかし、長期的な効果については研究の余地があるとクギを刺した。
「早い時間にたくさん食べて夜は控えめにするほうが健康にいいというのは理にかなっているが、研究はまだ行われていない」と、声明の代表著者は指摘する。実験の参加者が食事内容を常に正直に報告しないと信頼できる証拠が得られない点も問題だという。
断続的断食が健康にいいと証明されたとしても、実践するのは簡単ではない。永遠に続くかのような断食に比べればましだろうが、「ごちそうの日」だからといって体に悪い飽和脂肪酸や糖分たっぷりの食事を好きなだけ食べていいわけではない。
「ジャンクフードを食べたり大食いしたりすれば、断食のメリットはない」と、パテルは警告する。不健康な食生活が長く続けば、ビタミンやミネラルのバランスが崩れかねない。
「断食」や「ごちそう」という言葉自体も問題だと、キャターソンは言う。食べ物を勝手な判断で「いい食品」と「悪い食品」に二分することで、拒食症や過食症につながる恐れがあるからだ。
野菜や果物、全粒穀物、豆類、低脂肪の乳製品、タンパク質の多い食品(鶏肉、魚、脂肪の少ない赤身肉、卵など)、食用脂肪(オリーブオイル、アボカド、ナッツ類など)といった食品を中心に食べるのが一番だと、パテルは言う。
長期的な健康管理のカギは、自分の体と自分のライフスタイルに合った食習慣を見つけることだ。言うまでもないが、新しい食習慣を取り入れる場合は医師に相談すること。糖尿病や消化不良に悩んでいる人や摂食障害の経験者はなおさらだ。
結局のところ、野菜を食べてジャンクフードは避けるのが一番というわけだ。
[2018.6. 5号掲載]
カシュミラ・ガンダー
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