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「エホバの証人」を投獄、市民権もはく奪(アフリカ・エリトリア)

ニューズウィーク日本版 / 2018年6月5日 17時47分

<執拗な「エホバの証人狩り」はロシアだけじゃない。エリトリアでも差別や無期限拘留などの弾圧が行われている>

米国務省は5月29日、世界の宗教の自由に関する2017年版の報告書を発表した。それによると、キリスト教徒に対する弾圧で知られるアフリカのエリトリアで現在、宗教団体「エホバの証人」の信者少なくとも53人が投獄されている。獄中でのひどい扱いが原因で死亡した者もいるという。

エリトリア政府は、テワフド(コプト教、エリトリア正教とも呼ばれる)、カトリック教会、福音ルーテル教会とイスラム教の4つの宗教を公認している。だが公認しているキリスト教徒までもが頻繁に弾圧を受けており、エホバの証人のような非主流派の信者たちは絶えず迫害や差別の対象となっている。

【参考記事】「エホバの証人」を執拗に狩るロシア

1993年のエリトリア独立以来、権力の座に居座っているイサイアス・アフェウェルキ政権は、1994年にエホバの証人の信者たちの市民権をはく奪。独立の是非を問う国民投票に参加しなかったことや、兵役を拒否したのがその理由だった。これ以降、エホバの証人の多くの信者が信仰や兵役の拒否を理由に投獄されている。

米国務省は報告書の中で、2月に複数のNGO(非政府組織)から受けた報告として、2009年に逮捕されて2015年までメヒティル収容所に収容されていた信者のツェヘイ・テスファマリアムが、2016年11月に死亡していたことを明らかにした。テスファマリアムが収容所内で病気になった際に、当局が治療を拒んだとされる。



「独立の是非を問う国民投票で投票を拒んだことを理由に、1994年に市民権をはく奪されたエホバの証人の信者たちは、公式の身元確認書類を取得することができない」と報告書は指摘。さらに「そうした書類がないため、多くの信者がほぼあらゆる形態の雇用の機会を阻まれ、政府の給付金を受けられず、旅行もできない状態にある。エリトリア政府は彼らが良心から兵役を拒否したことを認めず、エホバの証人の信者ばかりを選んで逮捕や拘留などとりわけ厳しい扱いを続けている」とした。

エホバの証人の複数の信者によれば、1994年以降、少なくとも3人の信者が訴追されないまま拘留されている。また2018年に入って、高齢の信者2人が獄中で死亡した。

「エリトリアはエホバの証人の信者などを裁判や正式な罪状のないまま逮捕し、投獄している。子どもや高齢者を含む信者が宗教活動や非公表の理由により投獄されており、若い男性信者は兵役を拒否したことを理由に投獄されている」と、エホバの証人は声明で述べた。

こうした状況はロシアとよく似ている。ロシア政府は2017年にエホバの証人を過激派組織に指定。以来、信者の投獄や関連施設の閉鎖が行われており、これまでに少なくとも26人の信者が摘発を受けている。

(翻訳:森美歩)


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