1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

18歳成人法案こそ、有権者教育の教材として最適なのでは? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2018年6月15日 15時0分

有権者として、そのように参加しながら「政治年齢引き下げ」という自分たちに取って、最も身近で利害関係のある法案について、決定過程に参加できる、これは最高の主権者教育になるわけです。

その意味からすると、今回の民事関連の「18歳成人制度」については、18歳と19歳の主権者の参加は十分であったとは言えません。もったいないというのは、そういう意味です。

今回の民事関連の方は「いわば権利と義務のうちの権利」の方ですが、次に控えている刑事法制に関する「18歳成人」というのは、与えられた権利に対する「義務」の部分になります。この点については、是非とも18歳、19歳の有権者が賛否両論の議論に加わり、決定のプロセスに参加するのが良いと思います。

正確に言うと、現在の18歳や19歳の有権者は、これから「少年法など刑事法制における18歳成人」の法案が審議され、仮に可決成立し、さらに周知期間を経て発効するときには、20歳以上になっていると思われますから、法改正が直接影響を与える当事者にはなりません。

ですが、法律の対象となる年齢に最も近い世代が、賛否両論を戦わせながら新法の運用面における個別のケースなど、詳しいレベルでのディスカッションを行うことは、重要と思います。社会における価値観というのは世代によって異なる以上、若い世代を対象とする法改正には、若い世代の意見が反映していることが望ましいからです。



さらに、ここが最も大事な点なのですが、議論には参加したが、最終的に可決成立した法案は「自分の意見とは違う」という場合、それはそれで成立した法律には服さねばならないわけです。この「頑張って反対した」「でも自分の意見は通らなかった」「でも法律には従う」というところに、民主主義を採用した法治国家における有権者の権利と義務の関係が凝縮されているわけです。

また「自分は反対した法律が成立した」「だが、自分は反対の意見表明と法案の改正を主張し続ける」という言論の自由、政治的良心の自由、表現の自由というのも有権者として知っておくべき権利だと思います。

せっかく18歳選挙権が先に認められたのですから、少なくとも刑事法制における「18歳成人」については、是非18歳や19歳の有権者が、その議論に参加していくべきだと思います。成人式がどうなるかなどという話題より、こちらの方がずっと大事ではないかと思います。


【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きをウイークデーの朝にお届けします。ご登録(無料)はこちらから=>>

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください