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社員を幸せにしてくれる「ホワイト企業」の絶対条件

ニューズウィーク日本版 / 2018年6月22日 16時9分

例えば、ベンチャー企業を対象に2017年に実施された調査では、57%の企業で少なくとも1人が社外(自宅かまたは別の働きたい場所から)で勤務している。職務に最適の人材が最初から地元に住んでいなかったり、オフィスに十分なスペースがなかったりといった実務的な選択だ。

しかしこれには別の利点もある。社外勤務を認めることで、従業員への信頼を示し、裁量も与えることで、オフィスに無料のコーヒーやフルーツを常備するよりも幸福感は高くなる。

19世紀イギリスの美術評論家で社会思想家でもあるジョン・ラスキンは、いみじくもこう言った。「人々が仕事で幸福を感じるためには3つのことが必要だ。本人に合った仕事であること、働き過ぎないこと、そして成功を実感できること」

従業員のパーソナリティーもあるけれど

仕事の幸福度は従業員一人一人の個性にも左右される。筆者が設立した職場の幸福に関するコンサルティング企業ロバートソン・クーパーが実施した3200人の従業員を対象にした調査によれば、あるタイプの性格の人が他のタイプの人よりも、「仕事がうまく行った」経験をより多くもっていることがわかった。

まずは1)ポジティブな感情や熱意が高い人、2)悲しみや失望感、孤独感などで気持ちが沈む傾向が低い人、3)「課題に取り組みやり遂げた」人は、仕事で「うまく行った」と感じることが多かった。

上記の3つにあてはまる人は79%が「仕事がうまく行った」と感じているが、そうでない人は57%しか感じていなかった。この感情はさらに仕事への高い満足感、良好な健康状態、高い生産性へと繋がる。

この調査結果が示唆するのは、まず雇用者はこうした個性の人々を雇用するべきだ、ということだ。しかしもちろん、こうした個性の一部を欠いていても、重要なスキルを持っている人はいる。そして、例え幸福の気質を備えた人を雇っても、仕事への満足感の多くの部分は、しっかりと従業員を尊重し、信頼し、人間的な思いやりを持って管理し、より良いワークライフバランスを提供できる職場のカルチャーがあるかどうかにかかっている。

著者らの近著『ウェルビーイング:仕事の生産性と幸福』では、ロールス・ロイス、ブリティッシュ・テレコム、英行政サービスなどの有名組織の実例をもとに、こうした幸福カルチャーがどれだけの効果をもたらしているか検証している。

仕事の幸福、満足度は、ランチに寿司があるか、デスクでマッサージが受けられるかでは決まらない。上司が部下にどう接するかという問題だ。米作家マーク・トウェインはこう記している。「君の大望を見くびる人に近づいてはいけない。それはつまらない人間だから。真に偉大な人間は、君もいつか偉大になれると思わせてくれる」


Cary Cooper, 50th Anniversary Professor of Organisational Psychology and Health, University of Manchester and Ivan Robertson, Emeritus Professor of Work & Organizational Psychology, University of Manchester

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.




ケーリー・クーパー、イバン・ロバートソン(共に英マンチェスター大学教授)


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