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エルドアン大統領再選、トルコはもはや民主主義ではない

ニューズウィーク日本版 / 2018年6月26日 15時30分



この新体制は一人の人物に権限が集中しすぎており、バランスの取れた議会制民主主義の実現にきわめて重要な抑制と均衡が排除されているという批判の声があがっている。だがエルドアンとその支持者たちにとって、新憲法は経済成長を確実なものにし、クルド人の反体制派やクーデター支持派などの「安全保障上の脅威」に対処する上で必要なものだ。2016年のクーデター未遂後、エルドアンは、政府に批判的な姿勢を理由に警察や軍の兵士4万人以上を一時拘束したほか、12万人を職務停止処分にした。

エルドアンはまた、大統領選と同日に実施された議会選挙で、与党連合が600議席のうちの過半数を獲得したと宣言。アナドル通信によれば、開票率99%の段階でAKPは得票率42%で、計293議席を獲得すると予測される。連立を組む極右政党「民族主義者行動党」は得票率約11%で50議席を獲得する見通し。インジェが所属するCHPの得票率は23%で、146議席となる見通しだ。

国内メディア状況も危機的

またクルド系政党の国民民主主義党(HDP)が躍進し、67議席を獲得する見通しだ。同党のセラハッティン・デミルタシュ前共同党首は、クルド人の反政府勢力とのつながりが疑われるとして、テロ関連容疑で身柄を拘束されている(本人は容疑を否定)。デミルタシュは大統領選に立候補し、アナドル通信によれば得票率は8.4%だった。

選挙の投票日に向けてエルドアンは国内メディアを掌握。これによりメディアにおける対立候補の扱いは、エルドアンに比べてかなり小さなものとなった。5月にトルコのメディア監視機関が明らかにした数字によれば、アナドル通信ではエルドアンに割いた放映時間が68時間だったのに対し、インジェに割かれた放映時間はわずか7時間だった。

(翻訳:森美歩)

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