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「ショーンKに騙された、恥ずかしい日本人」『国体論』著者・白井聡インタビュー

ニューズウィーク日本版 / 2018年6月27日 15時40分

――対米従属からの自立はこれまでも反米保守派からも唱えられてきた。

石原慎太郎なんかが典型だが、威勢のいい発言は全て日本国内向けで、ワシントンに行けば対中脅威論をあおって、日米同盟を称賛する。かつて占領憲法はけしからんといいながら、政権を握ったら「ロン・ヤス」「不沈空母」と言いだした中曽根康弘首相も同じだ。

当世流行のネトウヨの諸君もそうだが、戦後日本では、「愛国的」「右翼的」であればあるほど対米従属的であるというのが常識となっている。だから、この国の右側にはナショナリズムなど存在しない。愛国ごっこに姿を借りた奴隷根性があるだけだ。

冷戦構造が厳しかった時代でさえ、アジアの親米国家の指導者でアメリカと軋轢を生じさせて暗殺された人物は、その疑惑を含め複数いる。日本の親米保守派は面従腹背を気取ってきたかもしれないが、誰も暗殺されたことがない。

あらためて2010年に沖縄米軍基地問題のために退陣した鳩山政権の挫折の異様さを肝に銘じるべきだ。普天間基地の沖縄県外移転という方針に、アメリカが直接怒ったのではなく、「アメリカの言いそうなこと」を日本のメディアや官僚、民主党政権の閣僚までが先回りして騒いで倒閣した。アメリカに対していささかなりとも主体性を見せることが、「反国体」的なのだ。





――日本の野党はどうか。

民進党の解体は見苦しかった。自民党と根本的に対決しようとするのなら、真の争点になるのは「対米自立」のはずだ。彼らが日本共産党との共闘から逃げ出した、あるいは及び腰である理由は、煎じ詰めればこの問題なのだ。共産党こそ、対米自立を一貫して唱えてきた勢力だからだ。だから、共産党と本格的に連携するとこの課題に取り組まざるを得なくなるのであり、それが怖いから、クラゲのように浮遊する国民民主党が生まれた。

立憲民主党はと言えば、腹を決めるしかないのに、選挙では共産党の候補に推薦を出そうとしない。対米自立という野党共闘の真の意味を理解しているのは、共産党の志位和夫委員長と自由党の小沢一郎共同代表だけだ。

――結局、日本は対米従属を脱せるのか。それとも破綻に向かうのか。

破綻はこれから起こるのではなく、すでに起こっている。安倍政権が腐敗と失政にもかかわらず長期本格化している、つまりこんな政権が相対的にであれ国民から支持されているという事実は、まさにこの国の破綻を物語っている。国民、とりわけエリート層の立て直しにしか、本当の解決はないだろう。日本の対米従属はきわめて異様であるという認識が広がることが大事だ。

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