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インドネシア、首都の強盗摘発強化作戦 10日間で320人逮捕、警官発砲で11人が死亡

ニューズウィーク日本版 / 2018年7月14日 21時0分



かつては日本人も路上犯罪の被害に

かつては陸橋や横断歩道で日本人が「ハンカチ落としましたよ」と声をかけられて指さした後方を見ている隙にズボンなどのポケットから財布や携帯がすられ、慌てて追いかけようとするが複数人がいて犯人が分からず、親切な人がたぶんあっちに逃げた男が犯人と教えてくれる、という手口の被害が相次いだ。声をかけた人、盗んだ人、親切に教えてくれた人、全員てがグルであり、決して犯人は捕まらなかった。

日本大使館に近いタムリン通りの陸橋や横断歩道、日本人が多数宿泊するタムリン通りやスディルマン通りにあるホテル周辺の陸橋や横断歩道などでこうした路上犯罪が頻発。日本大使館は「たとえ近距離でも信頼できるタクシーか運転手付きの車での移動を心がけてほしい」と注意を喚起した時期があった。

市民にも自己防衛策を呼びかけ

7月3日からスタートした特別作戦では、6日までの最初の3日間で69件の事案を摘発して73人を逮捕、27人の容疑者に対して発砲したものの死者は報告されていなかった。そしてその後12日まで10日間で、摘発件数の総合計は強盗、空き巣、車上荒らし、暴力行為など532件に達したとしている。

この数字はあくまで警察官が現認したり、通報を受けて現場に駆けつけたりした場合、さらに目撃情報に基づいた捜査の結果であり、警察が認知していない犯罪、いまだに検挙に至っていない犯罪の件数を勘案すると、首都ジャカルタの路上の治安がいかに悪いか、が浮き彫りとなる。

それだけに警察では周囲への警戒の徹底と同時に、歩行者やバイク後席の同乗者はリックやバッグを肩掛けにしたり前方に抱えたりするなどのほか、腕時計を外し路上では携帯電話の使用を控える、ズボンの尻のポケットに貴重品を入れない、などの自己防衛策を市民に呼びかけている。


[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など

大塚智彦(PanAsiaNews)


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