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ロシア寄り発言で窮地に立つトランプ、秋の中間選挙までに態勢を立て直せるか - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2018年7月19日 18時10分

但し、この調査の全体数字としては、「不適切」が55%に対して「適切」が37%、という結果が出ていますから、やはり危機に近い状況というのは間違いないでしょう。



これは、ちょうど1年前、2017年8月にバージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義者などと反対派との衝突で1人が死亡した際に、大統領がトランプタワーでの記者との問答で「双方に責任がある」などと述べ、大きな批判を浴びた状況に似ています。

中道層を含む広範な世論、そして与野党を超えた政治家たちが厳しく大統領を批判している一方で、支持者のコアの部分は、変わらずに大統領を支えていたという状況が、大変に良く似ています。

では、1年前と同じように、今回も「危機を脱する」ことができるのでしょうか? 3点考えてみたいと思います。

1つ目は、今後の政治日程です。昨年の場合は、このまま夏から秋は「寝たふり」をしていて、12月になって猛然と「トランプ税制」可決に突っ走り、これを成功させています。現在政権が一定の力を行使しているのは、この成果が大きいわけです。

ですが、今年(2018年)の場合は、11月初旬に中間選挙があります。その少し前、いや選挙戦が本格化する9月には体勢を立て直している必要があります。この点では、昨年とは条件が全く違います。

2つ目は、昨年のトラブルが「タチの悪いものではあるが、あくまで単発」であった一方で、今回の失言というのは、就任前後から続いており、現在も特別検察官とFBI、司法省によって捜査の続いている「ロシア疑惑」に直結しているという違いがあります。

仮に「ロシア疑惑」で、新しい材料が出てきたり、反対に大統領側が焦ってしまって「ローゼンスタイン司法副長官の解任」というような「禁じ手」に走ってしまうと、政権への大きな逆風に発展する可能性はあります。

3つ目は、経済の勢いに違いがあるという点です。昨年と比較すると、現在は、景気の過熱感が少し出てきています。また、貿易戦争というアメリカ経済全体にとって「オウンゴール」に近い政策が動き出しているという違いもあります。そんな中で、仮にFRBのパウエル議長が9月に強引に利上げをするようですと、景気や株価の大きな調整局面へと突入すする可能性もゼロではありません。

可能性としては大きくないにしても、「ロシア疑惑の深刻化」が「株の暴落」を招いて、政治的窮地に陥るというシナリオも想定しておく必要があるでしょう。今回の騒動は、いつもは超マイペースの大統領に焦りが見えることも含めて、夏から秋の政局に大乱が生じる可能性を秘めています。

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