アマゾンのジャングルに1人暮らす文明と接触のない部族の映像を初公開
ニューズウィーク日本版 / 2018年7月23日 16時55分
Funai-Fundação Nacional do Índio
フナイの職員は何度も男性に接触を試みたが、そのたびに拒絶された。男性が後で使えるよう、斧やマッチ、農作物の種などを置いていったが、触りもしなかったという。その気持ちは理解できる、とアルガイヤーは言った。「それは彼の抵抗、拒絶、憎悪のあらわれだ。彼が強いられてきた苦難を考えれば当然だ」
先住民の権利保護に取り組む人権団体、サバイバル・インターナショナルによれば、現在ブラジルには約240の先住民族が存在し、その総数は約90万人。ブラジルの総人口の0.4%を占めるという。ブラジル政府は先住民が暮らせる場所として、総面積の約13%に相当する690カ所の保護区を設立した。
アマゾン流域には文明と接触したことのない約80の孤立部族が存在する、とみられている。彼らは違法な森林伐採業者や農民による襲撃、免疫力を持たない病気の流行など、いくつもの絶滅の危機にさらされている。
ブラジルの最高裁判所は今年2月、アマゾン流域での環境保護義務を緩和する森林法を支持する判決を下した。これによってさらに森林伐採が進み、先住民のコミュニティーが破滅される恐れがあるとして、環境保護活動家たちは反発している。
男性の生存は最後の希望
「穴の民」に関して、サバイバル・インターナショナルの研究の責任者、フィオナ・ワトソンはガーディアンに次のように語った。「彼が生き延びていたという事実は希望を与えてくれる。彼は言わば、最後の希望の象徴だ」
「皮肉なことに、(アマゾンの破壊が進むにつれて)我々の想定を上回る部族の存在が明らかになっている。彼らの隠れ場所が暴かれないかが心配だ」
フナイの公式フェイスブックに、アルガイヤーはこう投稿した。「『穴の民』の男性は教えてくれた。何もかも失い、ジャングルで最後の一人になったとしても、社会との結び付きを断ったまま生き延びることは可能なのだということを」
(翻訳:河原里香)
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デービッド・ブレナン
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