アメリカも抜いた?ロシア製最終兵器、最新の実力
ニューズウィーク日本版 / 2018年7月23日 20時0分
「低空を飛び、識別の難しい巡航ミサイルで、核弾頭を搭載し、航続距離はほぼ無限で、予測できないコースを飛んで迎撃を迂回する能力も備えており、既存のあらゆる先進的な対空・対ミサイル防衛システムに対して無敵だ」と国防省は説明する。
アメリカのミサイル防衛システムはもともと、飛行高度の高いICBMからの攻撃を防ぐよ
うに設計されており、巡航ミサイルに対しては十分に機能しない可能性がある。あらかじめ決められた条件下で行う実験でも、うまくICBMを撃ち落とすことができたのは2回に1回しかない。
世界を破滅させる核津波兵器
また、ロシア国防省は19日、無人の超大型原子力推進核魚雷「ポセイドン」のテストを始めたと明らかにした。ポセイドンは核魚雷を搭載可能で、ホワイトハウスが発表した報告書では「世界を破滅させる兵器」とされている。
3月の演説でプーチンはポセイドンの製造を始めたことを公表するとともに、「(ポセイドンは)大陸間の非常に深い海を、潜水艦や最新鋭の魚雷、最速レベルのものを含むあらゆる種類の船舶の何倍も速い速度で」航行できると述べた。
またプーチンはポセイドンについて「静かで操作性に優れ、敵に気付かれるような弱点はほとんどない。世界にはこれに対抗できるものはない」と述べた。もしロシアのメディアが言うようにポセイドンに「数十」メガトンの威力があるとすれば、核爆発によって大都市を飲み込む規模の津波を起こすこともできるだろうと一部の専門家は指摘する。
2015年にロシア国営NTVは、「ステータス6海洋型多目的システム」と呼ばれる水中ドローンの開発計画を示す文書の映像を誤って放送した。BBCが伝えたところでは、この水中ドローンは100メガトン級の核爆発物を搭載し、最も深いところで水深1000メートルの海中を1万キロ航行できるとされていたという。過去に使用された中で最も強力な核兵器とされるのは旧ソ連時代に開発された水素爆弾「ツァーリ・ボンバ」だが、これはその2倍近い威力をもつことになる。
固定式のレーザー攻撃システム「ペレスベート」の動画も公開された。
3月のプーチンの演説の後、ボリゾフ国防省はロシアのメディアに対して次のように語った。ペレスベートは敵を瞬時に無力化できる。アメリカの先を行くレーザーシステムだ。
超音速飛翔滑空兵器「アバンガード」は、大気圏突入後、滑空して目標へのコースを変えるICBMだ。高い高度を音速の20倍で飛ぶが、ICBMに対するミサイル防衛網には引っかからないぎりぎりの高さを飛べるという。来年から配備可能といわれている。
アメリカはこうした兵器開発を軍事的な挑戦と受け止めている。プーチンと仲良くなろうとしたトランプの努力は、アメリカでは批判の的で、共感は得られていない。
(翻訳:村井裕美)
<本誌7/31号(7/24発売)「世界貿易戦争」特集では、貿易摩擦の基礎知識から、トランプの背後にある思想、アメリカとEUやカナダ、南米との対立まで、トランプが宣戦布告した貿易戦争の世界経済への影響を検証。米中の衝突は対岸の火事ではない>
トム・オコナー
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