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対中関税を引き上げれば、中国に選挙グッズを作らせているトランプも損をする

ニューズウィーク日本版 / 2018年7月27日 19時0分

<トランプ陣営の旗や帽子を受注生産する中国の工場は大忙し。関税引き上げ前に納品しなければトランプが損をしてしまうという皮肉のためだが、え、そもそもトランプって中国の工場を使ってたの?>

中国東部・安徽省阜陽市の工場労働者たちは今年3月以降、ドナルド・トランプ米大統領の再選キャンペーンに使う「キープ・アメリカ・グレート(アメリカを引き続き偉大な国に!)」というスローガンが書かれた旗約9万枚の生産を急ピッチで進めている。トランプが仕掛けた貿易戦争で中国製品への追加関税が拡大される前に、全部仕上げてアメリカに送ってしまうためだ。

トランプは貿易赤字の相手国である中国や、雇用や生産を国外に移すアメリカ企業のことを常に批判しているが、自分の損得に関することなら賃金の安い中国の工場を使うことに何のためらいもないらしい。

旗を作っている中国企業「ジンハオ」のヤオ・ユエンユエンは、ここ数カ月の注文は「(貿易戦争と)密接に関連している」と、ロイターに話している。「前倒しで準備を進め、関税が上がる前の時期を利用している」

受注価格は旗1枚=1ドル

この工場では通常、春から夏にかけての時期の注文数は多くない。しかし今年、「トランプ2020」の旗を縫う女性たちは大忙しだ。受注価格は旗1枚=1ドル。関税が上がればトランプ陣営の支払いは1ドルでは済まなくなる。

アメリカと中国は今のところ、お互いに計500億ドルの製品に追加関税をかけると決めているが、トランプはその上さらに2000億~5000億ドル相当の中国製品に追加関税を課すと脅している。5000億ドルといえば、中国の対米輸出全部に相当する額。そうなれば当然、トランプの旗にも関税がかかることになる。

ジンハオだけではない。トランプ陣営の選挙運動用品を作っている中国企業は無数にある。トランプ支持者がよく被っている「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」の帽子も、文字の刺繍部分を除けば中国製がほとんどだ。

「売り上げは2015年以来、好調だ」とジンハオのヤオは話している。だが、トランプ政権の追加関税によるダメージは心配だ。対米輸出の価格競争力が失われてしまうかもしれない。

関税引き上げまでに旗も帽子も作り終えたトランプ陣営からは、当分追加注文はないかもしれない。

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